ビルト (新聞)

『ビルト』は、ドイツの大手メディア企業であるアクセル・シュプリンガー社が発行する日刊新聞で、その歴史は1952年に遡ります。創刊当初の正式名称は「ビルト・ツァイトゥング」で、これはドイツ語で「画像新聞」を意味します。この新聞は、ゴシップやセレブリティに関する写真を多く取り入れた記事構成が特徴であり、読者の興味を引くために独特のスタイルを持っています。発行部数は2021年時点で約115万部に達し、ヨーロッパで最も売れている新聞としての地位を維持しています。

『ビルト』は、ハンブルクで創刊されましたが、2008年3月に本社をベルリンに移転しました。現在では、ドイツ全土に32の印刷拠点を持ち、全国各地で広く配布されています。また、特別版はスペインやイタリア、ギリシャ、トルコを含む他国でも発行され、国際的にもその影響力を広げています。

この新聞のスタイルは、イギリスのタブロイド新聞「デイリー・ミラー」に影響を受けており、煽情的な見出しが多く見られます。1980年代には546万部の発行部数に達しましたが、その後の数十年で発行部数は減少し、最盛期からは大きく減少したものの、それでも現在も堅実な人気を誇っています。

政治的には、親米・右派・保守寄りの立場を取っており、しばしば物議を醸す報道を行なっています。例えば、長らく東ドイツのことを「ソ連占領地域」と呼び続け、1968年には反学生運動に対する批判的な記事を掲載して、一部の学生運動家との対立を引き起こしました。

また、1984年からは一面に女性の水着やヌードの写真を掲載しており、これが女性団体からの批判を招いたこともあります。特に、2012年には国際女性デーに合わせて、ヌード写真を3面に移すという大胆な決定を下しました。これに対しては賛否が分かれる意見がありました。

さらに、2020年4月には、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたドイツに対し、中国政府に1650億ドルの賠償請求をすべきだとする社説を発表しました。こうした報道は、他のメディアや専門家からの注目を集めると同時に、議論を呼び起こしました。

『ビルト』はそのユニークな報道スタイルや発行内容で、ドイツにおけるメディアの重要な役割を果たし続けており、今後もその動向から目が離せません。

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