ビルベイス

ビルベイスの概要

ビルベイス（英語: Bilbeis, アラビア語: بلبيس）は、エジプトのシャルキーヤ県にある都市です。ナイル川デルタの南部に位置し、古代からの要塞都市として発展してきました。市の面積は比較的小さいものの、人口は40万人を超え、非常に密集しています。

市街地の北側にはナイル川の分流が流れ、南側にはスエズ運河とカイロを結ぶイスマイリア運河があります。これにより、周辺の農村地域と直結し、灌漑農業が盛んです。特に市の東と南には、土壌が肥沃な台地が広がっています。さらに、南部には首都圏を構成するニュータウンが存在し、オブール市やラマダン10日市、ニューカイロ市、新行政首都などが発展しています。注目すべきは、市街地の南東に位置するエジプト空軍の基地と空軍士官学校です。

歴史

ビルベイスは古代ローマ時代から重要な都市でした。その歴史的な背景の中で、古代キリスト教の司教座がこの地に設けられていたことからもその重要性が伺えます。ローマ・カトリック教会は今日においてもビルベイスに名義司教座（フェルベス司教座）を保持しています。コプト正教会の伝承によると、聖家族がエジプトに逃避する際にビルベイスに立ち寄ったとされています。

ビルベイスはシリアとエジプトを結ぶ通商路に位置しており、ここでの隊商交易は非常に栄えました。一方、東方からの侵入者にとっても重要な進軍路であり、様々な歴史的事件が起こりました。640年にはイスラム教徒のアラブ軍がビルベイスを包囲し、占領しました。この時に建てられたサダト・クライシュ・モスクは、エジプト最古のモスクとされています。

ムスリムの伝承では、ムハンマドと文通していたエジプトの支配者の娘がビルベイスに住んでいたとされています。また727年にはアラブ人のカイス族がこの地域に入植し、カイロを守るための要塞網を構築しました。

ファーティマ朝の末期には、シリアから侵攻してきたシール・クーフが1164年にビルベイスに籠城しましたが、彼は宰相シャーワルとエルサレム王国王アモーリー1世の連合軍によって包囲され、最終的には退却せざるを得ませんでした。1168年には、アモーリー1世がエジプトに攻撃を仕掛け、ビルベイスが陥落しました。この事件はファーティマ朝とアモーリーの間に大きな反感を生み出し、最終的にはエジプトからの退却を余儀なくされて、シャーワルはサラディンによって後任の宰相に任命され、エルサレム王国は圧迫されることとなりました。

まとめ

ビルベイスは、その歴史的背景と地理的位置から、古代から現代に至るまで様々な文化や政治の影響を受け続けています。都市の発展は、灌漑農業と交易の繁栄、戦略的な軍事的重要性にも関連しており、今後も注目される地域であることは間違いありません。

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