ビル・ポッツ

ビル・ポッツ：12代目ドクターのコンパニオン

ビル・ポッツは、イギリスのSFドラマ『ドクター・フー』に登場する魅力的なキャラクターです。パール・マッキーが演じ、シリーズ10から2017年のクリスマススペシャルまで、12代目ドクターのコンパニオンとして活躍しました。

人物像

ビルは、12代目ドクターが大学で教鞭を執る傍ら、大学の食堂で働く女性です。彼女はレズビアンであり、アフリカ系のルーツを持つため、性差別や人種差別に対して非常に敏感です。古い考え方を批判する一方で、過去の人物が差別的な発言をした際には理解を示す一面も持ち合わせています。

同性の恋人ヘザーとの関係を大切にしており、自身のセクシュアリティを隠すことなく、旅先では堂々と公言します。人種差別に対しては特に強い憤りを感じており、誤解から異星人に対して差別的な態度を取ってしまった際には、素直に謝罪する誠実さも持ち合わせています。

幼い頃に亡くなった母親を深く愛しており、その愛情が彼女の強い精神力の源となっています。しかし、12代目ドクターからは、短気な面もあると評されています。

物語における活躍

大学でドクターの講義に潜り込んでいたビルは、彼の目に留まり個人指導を受けることになります。そこで出会ったヘザーと親密な関係になりますが、ヘザーは謎の現象に巻き込まれてしまいます。ドクターとナードルの活躍により事態は収束しますが、この出来事をきっかけにビルはターディスに乗り込み、ドクターとの時空を超えた冒険に旅立つことになります。

旅の中で、ビルは真空空間に放り出されるという危機に遭遇します。ドクターの決断により一命を取り留めますが、その代償としてドクターは視力を失ってしまいます。その後、地球は僧侶と呼ばれる存在からの侵略を受け、ドクターを救うため、ビルは自身の命と引き換えに地球を僧侶に譲り渡します。

僧侶に支配された地球で、ビルは幽閉されたドクターと再会し、母親への想いを僧侶の洗脳装置に流し込むことで、洗脳を解除し地球を取り戻すことに成功します。

しかし、ブラックホール付近で救難信号を発していた宇宙船に立ち寄った際、乗組員に撃たれ、サイバーマンに改造されてしまいます。サイバーマン軍団との戦いで倒れたドクターの前で涙を流したビルは、ヘザーの力によって救出され、ヘザーと同等の存在となり、ドクターに別れを告げて宇宙へと旅立ちます。

その後、ビルは死亡したとされていましたが、死者の記憶を管理する組織テスティモニーによって復元され、12代目ドクターや初代ドクターと再会を果たします。自らをビル・ポッツ本人だと主張し、当初は疑っていたドクターも彼女を認めます。そして、再生を拒否して死を選ぼうとしたドクターを説得し、別れを告げました。

評価

シリーズ10の先行上映後、ビル・ポッツに対する評価は賛否両論でしたが、放送開始後は肯定的な意見が多く見られるようになりました。

ラジオ・タイムズのパトリック・マルケンは、パール・マッキーを「コンパニオンとしての地位をすぐに確立した」と評し、Den of Geekのサイモン・ブリューも彼女の演技を高く評価しました。

The A.V. ClubのAlasdair Wilkinsは、ビルがこれまでのコンパニオンとは異なるエネルギーをもたらしたと述べ、彼女が同性愛者の黒人労働者階級であることは、ドクター・フーの新たな可能性を示すものだとコメントしました。

一方で、デイリー・テレグラフのキャサリン・ギーは、パール・マッキーの演技を批判し、ビルについても「ごちゃごちゃしている」と述べましたが、彼女が中流階級ではない点を評価しました。

ビル・ポッツは、ドクター・フーの世界に多様性と新たな視点をもたらした、記憶に残るコンパニオンの一人です。

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