ビーキーパー

トーリ・エイモス『ビーキーパー』解説

『ビーキーパー』（原題：The Beekeeper）は、アメリカのシンガーソングライター、トーリ・エイモスが2005年に発表した8枚目のスタジオ・アルバムです。オリジナル楽曲としては7作目にあたります。

アルバムの背景

アルバムタイトルは「養蜂家」を意味しますが、エイモスは本作のテーマを「命の庭園を訪れ、知恵の樹の実を食べようと決断した女性」と語っています。アルバム全体は、「不毛の庭園」「岩石庭園」「薔薇と棘」「温室」「果樹園」「妙薬とハーブ」という6つの庭園をモチーフにして構成されており、ブックレットには各楽曲がどの庭園に対応しているかが明記されています。エイモスは、ハチの巣の六角形と天地創造の6日間から、「6」という数字にこだわりを見せています。

レコーディングの特徴

本作のレコーディングでは、ベーゼンドルファーのピアノに加え、夫からのプレゼントであるハモンドB-3オルガンが多用されました。エイモスはハモンドオルガンを「ファンキーで男性的」、ピアノを「情緒的で女性的」と表現し、本作ではそれらが調和していると語っています。

収録曲「オリジナル・シンシュアリティ」はピアノの弾き語りのみで録音され、他の18曲では、マック・アラディン、ジョン・エヴァンス、マット・チェンバレンがバックバンドを務めています。「ザ・パワー・オブ・オレンジ・ニッカーズ」ではアイルランドの歌手ダミアン・ライスとのデュエットが実現し、「リボンズ・アンダン」にはエイモスの姪であるケルジー・ドビンズが参加しています。

反響と評価

アルバムはアメリカのBillboard 200で5位を記録し、自身5作目の全米トップ10アルバムとなりました。アメリカ国内での売上は、発売から3年余りで29万枚を超えています。また、ドイツのアルバムチャートでは8位を記録し、自身2度目のトップ10入りを果たしました。

音楽評論家のStephen Thomas Erlewineは、AllMusicにおいて5点満点中3.5点を付け、「『ビーキーパー』は、テンポが遅くメロディがムードを増した時でさえ温かい気質を保ち、明るく光っている」と評価しました。一方、Rolling Stone誌のBarry Waltersは、5点満点中3点を付け、「彼女は自分の才能を、当たり障りのないレコード作りに浪費した」と批判しつつも、後半の楽曲、特にタイトル曲「ビーキーパー」や「オリジナル・シンシュアリティ」を評価しています。

収録曲

1. パラソル - Parasol
2. スウィート・ザ・スティング - Sweet the Sting
3. ザ・パワー・オブ・オレンジ・ニッカーズ - The Power of Orange Knickers
4. ジャマイカ・イン - Jamaica Inn
5. バロンズ・オブ・サバービア - Barons of Suburbia
6. スリープス・ウィズ・バタフライズ - Sleeps with Butterflies
7. ジェネラル・ジョイ - General Joy
8. マザー・レヴォリューション - Mother Revolution
9. リボンズ・アンダン - Ribbons Undone
10. カーズ・アンド・ギターズ - Cars and Guitars
11. ウィットネス - Witness
12. オリジナル・シンシュアリティ - Original Sinsuality
13. アイルランド - Ireland
14. ビーキーパー - The Beekeeper
15. マーサズ・フーリッシュ・ジンジャー - Martha's Foolish Ginger
16. フーチー・ウーマン - Hoochie Woman
17. グッバイ・ピスケス - Goodbye Pisces
18. メアリーズ・オブ・ザ・シー - Marys of the Sea
19. トースト - Toast

参加ミュージシャン

トーリ・エイモス - ボーカル、ピアノ、ハモンドオルガン
ダミアン・ライス - ボーカル (on 3.)
マック・アラディン - エレクトリック・ギター、アコースティック・ギター、マンドリン
ジョン・エヴァンス - エレクトリックベース、アップライト・ベース、ベース・ペダル
マット・チェンバレン - ドラムス
ロンドン・コミュニティ・ゴスペル・クワイア - バックグラウンド・ボーカル (on #2, #8, #11, #16)
* ケルジー・ドビンズ - バックグラウンド・ボーカル (on #9)

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