ビービー・ハーヌム・モスク

ビービー・ハーヌム・モスク：ティムールの栄華を今に伝える壮麗なモスク

ビービー・ハーヌム・モスクは、ウズベキスタンの古都サマルカンドにそびえ立つ、壮大かつ歴史的なモスクです。14世紀末、中央アジアを席巻したティムール帝国の創始者、ティムールによって建設が命じられました。モスクの名前は、ティムールの愛妃の一人、ビービー・ハーヌムに由来します。

壮大なスケールと特徴的な建築様式

モスクは、その巨大な規模と美しい装飾で見る者を圧倒します。外壁は高さ167メートル、幅109メートルにも及び、その巨大さが際立ちます。モスクのクーポラの高さは約40メートル、入口部分の高さは約35メートル。中庭には、巨大な大理石製のクルアーンのスタンドが設置されています。屋根は、インドから運ばれたとされる480本の石柱によって支えられていました。

ティムールの野望と建設の歴史

ティムールは、インド遠征からの帰還後、征服の際に目にしたデリーのモスクに感銘を受け、自身の首都サマルカンドにも壮大なモスクを建設することを決意しました。モスクの建設には、インドから持ち帰られた貴重な宝石が惜しみなく使用されました。ルイ・ゴンザレス・デ・クラビホの記録によれば、宝石を運ぶために98頭もの象が動員され、ティムール自身の監督のもと、1404年から1405年の間に完成したとされています。

しかし、ティムールは完成したモスクの入口のイーワーン（門）の高さに不満を抱き、すぐに立て直しを命じたという逸話も残っています。

崩壊と再建、そして現代

ティムールの死後、モスクは次第に使用されなくなり、急速な建設が祟り、何世紀もの時を経て廃墟と化しました。1897年に発生した地震によって、モスクは部分的に崩壊しました。その後、1974年にウズベク・ソビエト社会主義共和国政府によって再建が開始されました。現在のモスクは、事実上新しく建設されたものであり、以前のモスクの面影はほとんど残っていません。

モスクの周辺では、600年前の建設当時と変わらない賑わいを見せるシヨブバザールが開催されています。歴史と文化が交錯する場所として、多くの観光客が訪れます。

周辺の観光スポット

サマルカンドには、ビービー・ハーヌム・モスク以外にも、グーリ・アミール廟、シャーヒ・ズィンダ廟群、レギスタン広場など、数多くの歴史的な観光スポットが存在します。これらの場所を巡ることで、ティムール帝国の栄華をより深く感じることができるでしょう。

ビービー・ハーヌム・モスクは、壮大な建築と悲劇的な歴史を併せ持つ、中央アジアの重要な文化遺産です。サマルカンドを訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。

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