ピアノ協奏曲第4番 (モーツァルト)

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの初期のピアノ協奏曲作品群のうち、第4番にあたるト長調、ケッヘル番号41の作品です。

これは、彼が若き日に手がけた協奏曲のうち、第1番から第3番と同様に、既存の他者の作品の主題を基に編曲された作品群に属します。これらの初期協奏曲の手稿譜は、現在ポーランドのクラクフにあるヤギェウォ大学図書館にすべて所蔵されています。

作品の背景

モーツァルトは、1766年11月に約3年間にわたる長期旅行から帰国しました。この旅は彼に多大な音楽的な刺激をもたらしましたが、これらの初期協奏曲は、彼が協奏曲というジャンルの形式や原理を習得するための学習的な意味合いが強くありました。そのため、主要な主題の多くが、当時の他のドイツ系作曲家たちの作品から採られています。

この第4番協奏曲は、第3番と同様に、1767年の7月に故郷ザルツブルクで作曲されました。

主題の借用

具体的にこの第4番で主題が借用されているのは、以下の作曲家たちの作品からです。

第1楽章および第3楽章: レオンツィ・ホーナウアーのチェンバロ・ソナタ 作品1の1
第2楽章: ヘルマン・フリードリヒ・ラウパッハのヴァイオリン・ソナタ 作品1の1

モーツァルトはこれらの主題を基に、自身のピアノ協奏曲へと再構築しています。

楽器編成と管弦楽法

この協奏曲は、独奏ピアノに加え、以下の楽器編成で演奏されます。

フルート2
ホルン2
ヴァイオリン2部
ヴィオラ
バス

特に注目すべき点として、この作品ではオーボエの代わりにフルートが用いられています。これは彼の管弦楽法における独自の探求や、楽器の特性を考慮した選択であり、若きモーツァルトの作曲技法の進歩の一端を示すものと言えるでしょう。

楽曲の構成

全体の構成は、伝統的な3つの楽章から成り立っています。全曲を通しての演奏時間は、およそ12分程度です。

各楽章は以下の通りです。

第1楽章: アレグロ、ト長調、4分の3拍子
活気に満ちた開始楽章です。主題はホーナウアーから採られています。

第2楽章: アンダンテ、ト短調、4分の2拍子
緩徐楽章にあたり、この作品で初めてモーツァルトは協奏曲の楽章に短調を用いました。ラウパッハのソナタから主題が借用されています。

第3楽章: モルト・アレグロ、ト長調、4分の3拍子
非常に速く活発な終楽章です。第1楽章と同様に、ホーナウアーのソナタから主題が取られています。

このように、ピアノ協奏曲第4番は、モーツァルトが既存の素材を用いつつも、自身の音楽語法や管弦楽法を学び、発展させていく過程を示す貴重な初期作品です。

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