ピアノ四重奏曲第2番 (メンデルスゾーン)

ピアノ四重奏曲第2番 ヘ短調 作品2

フェリックス・メンデルスゾーンのピアノ四重奏曲第2番 ヘ短調 作品2は、彼の初期の重要な室内楽作品です。この曲は、最初のピアノ四重奏曲作品1の発表から1年後の1823年に出版されました。作曲当時、メンデルスゾーンはまだ14歳という若さでしたが、その才能はすでに開花しており、作品には並々ならぬ自信が漲っています。

本作は、メンデルスゾーンが8歳の頃から音楽の指導を受け、作曲の手ほどきをしたカール・フリードリヒ・ツェルターに献呈されました。ツェルターはまた、メンデルスゾーンを伴って旅に出、後の創作活動に大きな影響を与えることになる文豪ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテに引き合わせる役割も果たしています。ゲーテもまた、1821年から1825年にかけてのメンデルスゾーンの初期作品の形成において、重要な人物でした。

この第2番は、前作から顕著な進歩を示しています。前作との共通点は、ピアノが楽曲の中心を担い、技巧的なパッセージが前面に出ている点です。一方で、弦楽器に与えられる役割は比較的控えめながらも、曲全体の構築に貢献しています。

本作に対して、古い時代の興味深い論評がいくつか残されています。1825年11月の「BAMZ」という筆名の評論家は、メンデルスゾーンの才能を認めつつも、形式への強いこだわりが素材自体の扱いに課題を残していると指摘しました。それに対し、1828年の「LAMZ」という筆名の評論では、本作がこのジャンルにおける特筆すべき成功例であり、作品が「控えめでありながら、常に躍動感に満ちている」と高く評価されています。

楽曲構成

作品は以下の4つの楽章で構成されており、全曲の演奏時間はおよそ26分です。

第1楽章：Allegro molto

ヘ短調、2分の2拍子。ソナタ形式によって書かれています。楽章は弦楽器のユニゾンによって開始され、ヴァイオリンが主要な主題を提示します。この主題をしっかりと印象付けた後、音量を増しながら活発な経過句へと移ります。続く変イ長調の第2主題は、下降する旋律線を持つもので、ピアノによって提示されます。提示部の終わりは、ピアノによる三連符の急速な動きによって華やかに締めくくられます。

展開部では、弦楽器が第一主題の断片を扱い、その傍らでピアノは自由奔放なパッセージを奏でます。再現部では、まずヴァイオリンによって第一主題が戻り、ピアノからのヘ長調での第二主題の再現では、旋律に若干の変化が加えられています。提示部と同様に三連符が中心となる結尾部を経て、第一主題を用いて徐々に音量を上げていきます。最後はテンポを上げて（ピウ・アレグロ）、生じた勢いを維持したまま一気に終結を迎えます。

第2楽章：Adagio

変ニ長調、4分の3拍子。緩徐楽章です。ピアノによる美しい主題の提示で始まり、この旋律は弦楽器に受け継がれて歌い継がれます。やがて、初期ロマン派音楽に特徴的なピアノのトレモロ伴奏に乗って、ヴァイオリンによって新しい旋律が現れます。ピアノの伴奏がアルペッジョへと変化すると、この新しい旋律が再び奏されます。アルペッジョの伴奏が続く中で、ヴァイオリンが冒頭の主題を再現します。その後、旋律はピアノに移り、弦楽器はトレモロでそれを支えます。弦楽器のトレモロが最後まで静かに残り、楽章は閉じられます。

第3楽章：Intermezzo: Allegro moderato

ヘ短調、8分の6拍子。通常メヌエットやスケルツォが置かれる位置に、若きメンデルスゾーンは「間奏曲（インテルメッツォ）」を配しました。楽章はピアノの独奏で始まり、続いて弦楽器がそれに代わります。曲の中央部分は反復されますが、その最後には新しい楽想が登場すると同時に、ピアノは重音を用いた伴奏に切り替わります。中央部分の繰り返しを終えても、ピアノは同じ伴奏音型を維持し、そのまま音量を失って弱音で楽章を終えます。

第4楽章：Allegro molto vivace

ヘ短調、2分の2拍子。非常に活気のある終楽章です。ヴァイオリンが奏でる躍動的な主題で開始し、この主題はすぐにピアノでも繰り返されます。楽章の途中では、カノン風に声部が重なり合うエピソードが現れます。第一主題がヴァイオリンによって再現される際には、ヴィオラが対旋律を添え、変化がもたらされています。ピアノがオクターヴによる音型を奏し始め、音量を増しながらクライマックスを形成します。

この楽章は、冒頭から一度繰り返される指示があります。繰り返しを終えると展開部に入り、ピアノの絶え間ないユニゾンによって力強く展開されます。第一主題の再現が行われると、それに続いて他の重要な旋律や動機も再び現れます。活発なコーダを経て、楽章そして全曲は勢いを失うことなく力強く終止符を打ちます。この最終楽章では、弦楽器にもピアノと同等に技術的な見せ場が与えられています。

もう一度検索