ピウス7世 (ローマ教皇)

ピウス7世について

ピウス7世（Pius VII、本名：ジョルジョ・バルナバ・ルイージ・キアラモンティ）は、1742年にイタリアのチェゼーナで誕生した。彼は第251代ローマ教皇として1800年から1823年まで在位し、カトリック教会の教職者として重要な役割を果たした。彼はナポレオンとの深刻な対立を経て、教皇庁の国際的な立場を強化することに貢献した。

生い立ちと教育

ルイージ・キアラモンティは貴族の家に生まれ、ラヴェンナで教育を受けた後、1756年にベネディクト会に入会した。彼はその後、友人であった教皇ピウス6世の後見を受け、ローマのサン・カリスト修道院院長、司教、そして枢機卿に昇進していった。

教皇としての課題

1799年にピウス6世が亡くなり、彼の後任を選ぶためのコンクラーヴェが開催された。教皇選出には長い紛糾があったが、最終的にキアラモンティが選ばれ、ピウス7世として教皇の座についた。彼が就任した際の最大の課題は、カトリック教会と世俗国家の関係を修復することであった。当時、フランス革命の影響で教会に対する反発が高まっていたため、彼はまずナポレオン・ボナパルトとの交渉に乗り出した。

ナポレオンとのコンコルダート

1801年、ピウス7世はナポレオンとの間でコンコルダートを結び、フランス政府との関係を公式に修復した。これは教会の権威回復に向けた重要な一歩であった。彼の外交手腕には、枢機卿エルコール・コンサルヴィの支えがあったが、その後ピウス7世は、ナポレオン政権の教会への干渉に苦しむことになる。

最悪の状況と幽閉

1804年、ピウス7世はナポレオンの戴冠式に招かれ、フランスを訪れるが、そこで教会が政府に支配される現状を目の当たりにする。彼はナポレオンが教皇の権威を政治的に利用しようとしていることを痛感し、その後の関係が緊迫していく。
ナポレオンは教皇領を接収することに決め、これに対抗するためピウス7世はナポレオンを破門することとなる。結果として、ピウス7世は1809年にサヴォーナに監禁され、長い沈黙の中で過ごすことになった。

教皇庁の地位の回復

1814年、ナポレオンが退位した後、ピウス7世はようやくローマに戻り、市民からの熱烈な歓迎を受ける。彼の帰還は教皇庁の権威を強化し、ウィーン会議において教皇領の復活が認められる結果となった。

教会再建と他の成果

ピウス7世の23年間の教皇としての活動は、教会の復興やさらなる外交的成功をもたらした。特に、1814年のイエズス会再興やロシア・プロシアとのコンコルダートの締結などは彼の重要な成果として後世に評価されている。

結び

教皇としての任期の前半はナポレオンとの激しい対立が続いたが、ナポレオンの没落後には人道的な行動を示し、彼の家族をローマでかくまったり、臨終のナポレオンに司祭を派遣したりするなど、国際的な人道主義者としての面も持っていた。ピウス7世は、教会と国との関係を再構築し、その影響力を確立した教皇として歴史に名を刻んでいる。

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