ピナレロ

ピナレロ（Pinarello）

ピナレロは、イタリアのヴェネト州トレヴィーゾに本拠を置く、世界的に有名な自転車メーカーです。ロードバイク、トラックレーサー、シクロクロスバイク、MTB、トライアスロン用自転車など、幅広いラインナップを展開しています。自社コンポーネントブランド「MOST」も手がけています。

概要

1952年にジョヴァンニ・ピナレロによって創業され、現在は息子のファウスト・ピナレロが指揮を執っています。コルナゴ、ビアンキ、デローザなどと並び、イタリアを代表する自転車メーカーとして知られています。

ピナレロは、インテグラルヘッドの復活やカーボンバックの開発、ONDAフォーク、世界初の左右非対称フレームなど、革新的な技術とデザインで常に業界をリードしてきました。比較的近年までホリゾンタルフレームを競技用上位モデルに採用していたことでも知られています。

フルカーボンフレームが主流となる中、アルミニウム合金やマグネシウム合金を使用した金属フレームにも注力し、東レからのカーボンシート供給を受け、積極的に新フレームの技術開発に取り組むことで、第一級のレーシングブランドとしての地位を確立しています。かつては姉妹ブランドとして「オペラ」も展開していました。

歴史

1952年：ジョヴァンニ・ピナレロがフレームビルダーとして工房を設立。
1953年：ピナレロを創業。
1957年：レースチームへのフレーム供給を開始。
1980年代：夏季オリンピックやグランツールでのステージ優勝など、成功を収める。
1982年：スペインのチーム、レイノルズ（後のバネスト、モビスター・チーム）にバイクを供給。
1990年代：ミゲル・インドゥラインがツール・ド・フランス5連覇、ジロ・デ・イタリア2連覇など数々の勝利を挙げ、ピナレロの名を世界に広める。
1994年：クロモリのスチールバイクがツール・ド・フランスで優勝した最後の年となる。その勝者ミゲル・インドゥラインが乗るピナレロのロードバイクはORIA製CrMoチューブをTIG溶接したものである。
1998年：世界初のカーボンバックフレーム「PRINCE」を発表。大人気車種となり、1年待ちのバックオーダーを抱える。
2000年：ファッサ・ボルトロにバイクを供給。アレッサンドロ・ペタッキらの活躍を支える。
2002年：世界初の量産マグネシウム合金ロードバイク「DOGMA」を発表。ONDAフォークが登場。

DOGMA

「DOGMA」は、数々の国際的なビッグレースで勝利を重ね、ピナレロのフラッグシップモデルとしての地位を確立しました。現在では、ピナレロのトップグレードモデルに与えられる称号となっています。下位グレードモデルにも、各世代のDOGMAから得られた技術やフォルムが継承されています。

2009年：世界初の完全な左右非対称フレーム「DOGMA 60.1」を発表。
2010年：チームスカイ（現チーム・イネオス）にバイクを供給。クリス・フルームやブラッドリー・ウィギンスらがツール・ド・フランスで7回の総合優勝を飾る。
2012年：「DOGMA 65.1」を発表。ウィギンスがツール総合優勝。
2014年：ジョヴァンニ・ピナレロ死去。ジャガーと共同開発した「DOGMA F8」を発表。
2015年：石畳やグラベルを想定したサスペンションシステムDSS1.0を備えた「DOGMA K8-S」を発表。
2017年：「DOGMA F10」「DOGMA K10」を発表。クリス・フルームがツールとブエルタを総合優勝。
* 2019年：「DOGMA F12」発表。エガン・ベルナルがコロンビア人初のツール・ド・フランス総合優勝。

近年の動向

2016年から2023年までLVMHグループの投資ファンドであるL Cattertonが株式を保有していましたが、2023年に資産家アイバン・グラゼンバーグに売却されました。ファウスト・ピナレロは「新しいパートナーは自転車に情熱のある人」と語っています。

ピナレロは、常に革新的な技術と美しいデザインを追求し、世界中のサイクリストに最高の体験を提供し続けています。

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