ピボール行政区

ピボール行政区

ピボール行政区（英: Pibor Administrative Area）は、南スーダンの東部、上ナイル地方に位置する重要な行政区です。首府はその名を冠したピボールにあり、元々はジョングレイ州に属していた2つの郡から成る地区です。面積は約41,654平方キロメートルで、2008年の国勢調査では214,676人が居住し、2020年には326,202人とされています。

歴史的背景と変遷

この地域は、遊牧民族であるアヌアク族、ジエ族、ムルレ族、キチェポ族が主に居住してきました。彼らは、ヌエル族やディンカ族が支配するジョングレイ州政府及び南スーダン政府に対し、自治政府の樹立を求めてきました。2010年、ムルレ族を中心とする南スーダン民主運動/軍（SSDM/A）が設立され、同年の内に南スーダン政府に対する武装蜂起を行いました。これ以前からも、土地を巡る紛争が繰り返されていました。

2011年6月、SSDM/Aは南スーダン政府と停戦協定を結びましたが、その後も内部の不満からコブラ派が誕生し、再び武装闘争を展開しました。コブラ派は2014年1月に南スーダン政府との間で停戦合意を交わし、その後和平協定が結ばれました。この協定により、大ピボール行政区（GPAA）が創設され、デイヴィッド・ヤウ・ヤウがそのリーダーに就任しました。2015年にはこの地域が独立したボーマ州として昇格しましたが、2020年にはボーマ州が廃止され、新たにピボール行政区として再編成されました。

しかし、行政区に再編成された後も、民族間の対立は解消されず、特にムルレ族と他の民族との間での衝突は続いています。

行政構造

大ピボール行政区の長官は州知事と同等の権限を有しています。デイヴィッド・ヤウ・ヤウが2014年から2015年の間、GPAAの長官を務めましたが、2020年以降のピボール行政区についての長官は未定です。

行政区は、ジョングレイ州のピボール郡とポチャッラ郡で成り立っていましたが、GPAA設立後はこれらの郡が7つに分割されました。具体的には、クバル郡、ピボール郡、ゼーテット郡、レクアンゴレ郡、ボーマ郡、南ポチャッラ、北ポチャッラが設置されました。ボーマ州として独立した後も郡の数は増えましたが、2020年の再編時に元の構成に戻されました。

部族間の対立

2020年5月、ピボール郡においてムルレ人とロウ・ヌエル人との間に、長期にわたる対立が影響し戦闘が発生し、200人以上が命を落とす事態となりました。さらに6月には、ロウ・ヌエル人とディンカ・ボル人が共闘してムルレ人に対する報復行動を起こしました。これらの衝突は、複雑な民族背景に基づくものであり、地域の安定にはさらなる努力が必要です。

平和と安定のための道筋は厳しいものですが、ピボール行政区にはその可能性とも向き合っていく土壌があります。

もう一度検索