ピンネース

ピンネース（pinnace）とは、帆船の一種であり、その用途と規模によって大きく二つの意味合いを持ちます。一つは小型のボートを指し、もう一つはボートよりもやや大きい小型船舶を指します。

初期のピンネースは、主に帆や櫂を推進力とする小型ボートでした。これらのボートは、大型の商船や軍艦を誘導する役割を担っていました。また、救命艇などの特定の定義に当てはまらない艦載艇としても利用されました。17世紀のカリブ海では、港湾の海賊に対する警戒が非常に強かったため、寄港を希望する戦艦から、交渉役として先行して派遣されることもありました。ピンネースは小型でありながらも風に対して強く、機動性に優れていたため、海賊たちも偵察用の船として重宝しました。

17世紀の前半になると、オランダでは新たなタイプのピンネースが開発されました。これらのピンネースは、ガレオン船に似た形状を持ち、シップと同様の3本または2本のマストを備えていました。この時期のピンネースは、必ずしも小型ばかりではなく、中には数トンの重量を持つものもありました。主にオランダ人によって使用され、北海を中心に商船や小型軍艦として幅広く活用されました。これらの大型ピンネースは、輸送能力や戦闘能力も兼ね備えており、当時の海運を支える重要な役割を果たしました。

このように、ピンネースは時代や用途によって異なる形態と役割を持っていました。初期の小型ボートから、後に開発された大型の小型船舶まで、その進化は帆船の歴史を物語る上で重要な要素の一つと言えるでしょう。

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