ガレオン船

ガレオン船とは

ガレオン船（Galleon）は、16世紀半ばから18世紀にかけて用いられた大型の帆船です。大航海時代の幕開けと共に登場し、遠洋航海の主力として活躍しました。キャラック[[船]]を基に改良が重ねられ、より高速で多くの積載量を誇るように進化しました。ガレオン船は、その後の海戦術や海上交易に大きな影響を与えました。

ガレオン船の特徴

ガレオン船は、キャラック[[船]]に比べて船首楼が小さく、船尾楼が大きく、また、船体の幅と全長の比率が1:4と細長いのが特徴です。これにより、積載量を増やしつつ、速度を向上させることに成功しました。4～5本の帆柱を備え、1列または2列の大砲を装備しており、武装した商船としても利用されました。しかし、細長い船体ゆえに安定性に欠け、転覆しやすいという弱点も抱えていました。

歴史

スペインでは、主に3本マストを持つ500～600トン級のガレオン船が建造されました。これらの船は、豪華な装飾が施される一方で、速度性能はそれほど高くありませんでした。そのため、より高速なスループ船を用いた海賊の襲撃に弱いという側面がありました。スペインのガレオン船の船名には「ヌエストラ・セニョーラ（我等の聖母マリア）」という言葉がよく用いられました。

西欧各国は、競ってガレオン船を軍艦や大型商船として運用しました。スペインは、新大陸の植民地から富を本国へ輸送するために大型のガレオン船を建造しました。フランシス・ドレークが世界一周に使用した「ゴールデン・ハインド号」も有名なガレオン船の一つです。

大航海時代が進むにつれて、海上交通の重要性が増し、国家間の競争が激化しました。イギリス海軍は、ガレオン船による単縦陣戦術を確立し、一斉砲撃による海戦で優位に立ちました。その後、大砲を増やすために甲板を多層化し、戦闘に特化した戦列艦へと発展しました。

日本のガレオン船

日本では、1607年に徳川家康の命により、ウィリアム・アダムスによって「サン・ブエナ・ベントゥーラ号」が建造されました。これは、日本で最初に建造された西洋式の大型帆船です。その後、ドン・ロドリゴ一行が遭難した際に、彼らをヌエバ・エスパーニャ（現在のメキシコ）へ送り届けるために使用されました。この時、田中勝介ら日本人22人がアメリカ大陸に渡った最初の日系人となりました。

1613年には、伊達政宗の命により、「サン・ファン・バウティスタ号」が建造されました。この船は、ルイス・ソテロと支倉常長らの使節団をローマ教皇のもとへ派遣する際に用いられ、太平洋を二往復しました。鎖国令により国産遠洋船の歴史は途絶えましたが、「サン・ファン・バウティスタ号」は当時の世界水準に達した大型ガレオン船でした。

サン・ファン・バウティスタ号は、仙台藩の地元職人によって建造されたことが特筆されます。この事実は、日本史だけでなく、東西交流の歴史においても重要な意味を持っています。この歴史を後世に伝えるため、復元船の建造プロジェクトが開始されました。復元船は、当時の資料や伝統工法に基づき建造され、1993年に進水しました。しかし、東日本大震災で大きな被害を受け、現在では解体されることが決定しています。復元船は、ガレオン船の構造や船内生活、航海術、慶長使節に関する展示を通じて、当時の歴史を伝えていました。

著名なガレオン船

マニラ・ガレオン
サン・サルバドル
ゴールデン・ハインド
アーク・ロイヤル
アドラー・フォン・リューベック
サン・ホセ

参考文献

佐藤快和『海賊紳士録 : 陽気なロジャーたち』株式会社マリン企画、1979年。

関連項目

帆船時代の海戦戦術
サン＝フェリペ号事件
水澤化学工業 - 主力商品「ガレオンアース」の輸送用コンテナにガレオン船のイラストが描かれている。

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