ピンハネ

ピンハネとは

ピンハネとは、他者に渡すはずの金銭や利益の一部を、不正に抜き取る行為を指します。これは「上前を撥ねる」とも表現され、他人の労力や成果を不当に利用して利益を得る行為として、しばしば批判の対象となります。

ピンハネと中抜きの違い

ピンハネと混同されやすい言葉に「中抜き」がありますが、これらは全く異なる意味を持ちます。中抜きは、流通経路において中間業者を省き、生産者と消費者などが直接取引を行うことを指します。したがって、ピンハネを中抜きと表現するのは誤りです。

ピンハネが行われる背景

ピンハネは、様々な組織や業界において、構造的な問題として存在してきました。例えば、天下り団体、暴力団、建設業界、人材派遣業、芸能事務所、公共団体、民間団体など、中間的な立場の組織が関与する場面で、しばしば見られます。これらの組織が、労働者と雇用者の間に立ち、力関係を利用して不当な利益を得るという構図が、ピンハネを助長する要因となっています。

ピンハネの定義と解釈

ピンハネは、広義には手数料や税金なども含まれるとする見方もあります。しかし、一般的には、他者の利益を不当に横取りし、暴利をむさぼるというネガティブなイメージを伴って使われます。老人ホームや障害者施設などでの親族からの仕送りのピンハネも問題となっています。

一方で、利ざやが小さく、事前に契約で金額や割合が明記されている場合は、ピンハネとはみなされないこともあります。

ピンハネの語源

「ピン」の語源には諸説ありますが、有力な説として、ポルトガル語で1割の上前を意味する「pinta」が挙げられます。この説によれば、搾取するために「ピンをはねる」ことから「ピンハネ」と呼ばれるようになったとされています。また、賭博用語で「1」を「ピン」と呼ぶことも関連があるかもしれません。

ピンハネの歴史と実態

古くから、ピンハネは非合法組織や公務員、企業、団体などによって行われてきました。しかし、その行為を悪とする風潮が薄く、取り締まる法律も整備されていなかったため、長年にわたって改善されないまま現在に至っています。

利ざやの搾取額や割合は、法的に制限されていないため、搾取する側の都合で大きく変動します。50%を超えることも珍しくありません。建設業界では、元請けが下請けに丸投げして利益を得る手法が蔓延しています。暴力団では、上部組織が下部組織から上納金を徴収することで組織が維持されており、この上納金も一種のピンハネと見なせます。

ピンハネに関するエピソード

中国では、5次下請けの殺し屋の男が、報酬が大幅に減額されたことに不満を持ち、標的に死んだふりをさせて逮捕されるという事件がありました。この事件は、依頼者と下請けの構造が露呈した事例として、2020年のイグノーベル賞を受賞しました。

関連項目

中間搾取
丸投げ

ピンハネが行われる事例

労働者派遣事業
公共料金
* 箱物行政

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