丸投げ

丸投げ（まるなげ）とは

丸投げとは、主に建設業界において、発注者から仕事を請け負った元請けが、下請け業者に手数料などを徴収して、仕事をそっくりそのまま譲渡することを指します。また、本来であれば担当者が行うべき業務を、他の人に全面的に任せてしまう状況も指します。

概要

一括請負契約自体は、OEMに代表されるように一般的な契約形態であり、丸投げという行為そのものが、直ちに違法または不法とみなされるわけではありません。例えば、商社は企画営業に特化し、商品の製造や流通を外部企業に委託するケースが多く見られます。このようなアウトソーシングは、通常、違法とはされません。

しかし、建設業界においては、戦後の発展の過程で、大手建設業者（ゼネコン）が優位な立場を利用し、下請け業者に仕事を丸投げすることでマージンを得るという慣習が常態化していました。そのため、建設業法では、一括下請負が原則として禁止されています。この問題は、戦後間もない時期から国会でも取り上げられ、独占禁止法との関連（優越的地位の濫用）から議論が深められました。

業務を実際に行う企業が、自ら顧客を開拓できるのであれば、バックマージンを支払ってまで丸投げを受注する必要はありません。しかし、多くの場合、受託側企業は営業能力が不足していたり、商慣習上、丸投げを受けざるを得ない仕組みになっていることが問題視されています。

近年では、ソフトウェア業界においても多重下請けや丸投げの問題が指摘されており、公正取引委員会が実態調査報告書を公表し、立ち入り検査の強化や取引改善を推進する方針を示しています。

丸投げの問題点

丸投げには、以下のような問題点が指摘されています。

優越的地位の濫用: 元請けが下請けに対して不当な要求を行うことで、下請けの利益を損なう可能性があります。
天下りや脱税の発生: 公益法人を経由することで、不透明な資金の流れが生じる可能性があります。
売上高粉飾の余地: 丸投げ（スルー取引）を利用して、売上高を不正に操作するリスクがあります（循環取引）。
談合の温床: 不当な価格操作や競争制限が行われる可能性があります。
品質問題: 構造計算書偽造問題に代表されるように、デベロッパーと建設業者との不適切な関係が、品質低下を招くことがあります。
責任の転嫁: 正社員よりも立場の弱い非正規雇用労働者や請負社員に、責任が押し付けられることがあります。
委託者の責任逃れ: 業務を丸投げすることで、委託者が不当に責任を回避することがあります。

参考文献

栃木県鹿沼市による行政資料「建設工事における一括下請負（丸投げ）の禁止について」

関連項目

下請代金支払遅延等防止法（下請法）
企業倫理
ピンハネ
中間搾取
自動車産業
ゼネコン - ITゼネコン
企業コンプライアンス
番組制作会社

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