ピードモント航空

ピードモント航空について

ピードモント航空（Piedmont Airlines）は、1940年に設立されたアメリカの大手航空会社で、ノースカロライナ州ウィルミントンにその始まりを持ちます。創業当初は航空機の販売やパイロットの訓練を行っており、航空会社としての運航は行っていませんでしたが、1944年に地域航空会社としての運航認可を取得しました。これがその後の航空会社としての基盤となりました。

独立と初期の発展

1948年にピードモント航空として独立し、最初はダグラス DC-3を使用してウィルミントンとシンシナティを結ぶ運航を開始しました。その後、アトランタ、ニューヨーク、ナッシュビル、シカゴなどの主要都市への路線を次々に開設し、特に1968年には日本航空機製造のYS-11を主力機材として導入。こうした取り組みにより、アメリカ東南部に広がる路線網を構築しました。

1980年代の成長と拡大

1978年に航空業界の自由化が進むと、ピードモント航空の事業も拡大を続けました。フロリダ州やテキサス州へも路線を展開し、有償旅客マイル数は1970年代後半で34%増加。売上は1160万ドルに達しました。特に1985年には乗り入れ都市を24州100都市に増やし、年間売上は10億ドルを超えるまでになりました。1984年には「エアライン・オブ・ザ・イヤー」にも選出され、優良航空会社としての名声を高めていました。

国際線への進出

1980年代中盤には国際線への進出も行っており、ボーイング767などの大型機材を導入してカナダやバハマ、そしてロンドンへの国際線運航を開始しました。これにより、地域航空会社から国際的な航空会社への転身を果たしました。

突然の買収劇

1980年代後半、航空業界の再編成が進む中、ピードモント航空はエンパイア航空とアルゲニー航空の買収を目指しましたが、逆にUSエアに買収されることとなります。1987年4月、USエアはピードモント航空を16億ドルで買収することを決定。この買収は多くの社員にとって驚きでした。特に現場主義だったピードモント航空とコスト重視のUSエアの社風の違いが浮き彫りになり、社員による社長への不満が高まりました。最終的に1989年8月に合併が完了し、ピードモント航空の名は消えました。

名称の復活

現在、USエアウェイズ傘下の地域航空会社であるHenson Airlinesは1993年にピードモント航空に改名し、USエアウェイズ・エキスプレスブランドでボンバルディアのダッシュ8シリーズを運航しています。

機材とエピソード

最初の運航機材はダグラス DC-3であり、その後も多様な機材を導入してきました。特にYS-11はアメリカの航空会社で初めて採用されるなど、その影響は大きかったと言えます。名声を持つピードモント航空を買収したUSエアは、その後業績が悪化し、1990年代には困難な時期を迎えることになります。さらに、ピードモント航空出身の退社者がコンチネンタル航空の再建に携わるなど、新たな展開も見られました。失われた航空会社の歴史は、意外にもその後の業界に影を落とす形で続いています。

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