ファイサラーバード

ファイサラーバード：パキスタンの主要都市

ファイサラーバードは、パキスタンのパンジャーブ州に位置する、同国で3番目に大きな都市です。2022年現在、都市的地域の人口は約400万人に達しており、パキスタン経済の重要な中心地の一つとなっています。

歴史

ライオールプルからファイサラーバードへ

ファイサラーバードは、かつて「ライオールプル」という名前で知られていました。この旧名は、英国植民地時代の官吏、ジェームズ・ブロードウッド・ライオール中尉に由来します。1970年代後半、パキスタン政府は、サウジアラビアのファイサル国王への敬意を表し、都市名を「ファイサラーバード」に変更しました。「ファイサルの都市」という意味が込められています。

植民地時代以前

18世紀以前、ファイサラーバード周辺は森林地帯で、部族が居住していました。農業大学の研究によれば、ジャングやサンダルバル周辺から入植が始まったとされています。

英領インド時代

1858年、ムガル帝国が崩壊し、英領インドが直接支配するようになりました。1880年、イギリスの植民地司令官ポーハム・ヤングが、この地に新しい都市を建設することを提案しました。この計画はライオール州知事の賛同を得て、ライオールプルの建設が始まりました。

ヤングは、ユニオンジャックを模した都市計画を立て、中心の時計塔から放射状に8本の道路が伸びるように設計しました。これらの道路は、それぞれ異なる市場通りに繋がり、パンジャーブ州の他の地域へと続いています。

1892年には鉄道が開通し、1895年にはワズィーラーバードと鉄道で結ばれました。1896年には、グジュラーンワーラー、ジャング、サヒワルと共にジャング地区に組み込まれました。1906年には農業大学が設置され、1909年には町から市に昇格し、小麦粉の集積地として発展しました。1930年代には、繊維、食料加工、化学工業などが発達しました。

インド・パキスタン分離独立

1947年、インドとパキスタンが分離独立した際、大規模な人口移動が発生しました。ライオールプルでは、ヒンドゥー教徒やシク教徒がインドへ移住し、代わりにインドからムスリムが入植してきました。1977年には、都市名がファイサラーバードに改称されました。1980年代には海外投資が増加し、1985年にはファイサラーバード地区として昇格しました。

地理と気候

ファイサラーバードは、シェナブ川沿いに位置しており、その肥沃な土地は農業に非常に適しています。

経済

ファイサラーバードは、パキスタンのGDPの20%以上を生産することから、「パキスタンのマンチェスター」と呼ばれています。市のGDPの約21%は農業によるもので、綿、小麦、砂糖黍、野菜、果物が生産されています。また、工業も盛んで、重過リン酸石灰、綿・絹繊維、靴下、染料、化学工業、飲料、衣服、製紙、印刷、農業機械、ギーなどが製造されています。

市内には、鉄道修理工場や砂糖、小麦粉、植物油の工場が集まる産業団地があります。大規模な陸上港とファイサラーバード国際空港を擁し、貿易の中心地としての役割も果たしています。

教育

ファイサラーバードには、ファイサラーバード農業大学や国立繊維大学などの高等教育機関があります。また、地域公立学校やアユブ農業研究機関など、教育・研究機関が充実しています。

文化・名物

ファイサラーバードは、スポーツも盛んで、イバル・スタジアムを拠点とするクリケットチーム「ファイサラーバード・ウルブス」があります。また、ホッケーやスヌーカーでは世界レベルの選手を輩出しています。

姉妹都市

ファイサラーバードは、以下のような多くの姉妹都市を持っています。

サンクトペテルブルク（ロシア）
カーンプル（インド）
武漢市（中国）
コルドバ（スペイン）
マンチェスター（イギリス）
神戸市（日本）
ロサンゼルス（アメリカ）
タンジェ（モロッコ）

まとめ

ファイサラーバードは、歴史、経済、文化、教育の面で重要な都市です。かつてのライオールプルとしての歴史を持ちながら、近代的な都市へと発展を遂げてきました。この都市は、パキスタンの経済と社会を支える重要な役割を担っており、今後もその発展が期待されています。

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