ファイター (漫画)

ファイター

『ファイター』は、たがみよしひさによって描かれた日本の格闘漫画作品です。1989年から1992年にかけて『月刊アニマルハウス』（白泉社）で連載されました。しかし、連載誌の休刊により、物語は未完のまま幕を閉じることとなりました。

あらすじ

物語は、主人公である女王将唯（めのう しょうい）が、国会議員であった父を暗殺されるという衝撃的な出来事から始まります。叔父に引き取られた将唯は、金や権力では得られない「力」を求め、高校の空手部に入部します。

小柄な体格のため、周囲からは軽く見られがちでしたが、転校生の力師丸統哉（りきしまる とうや）との出会いが、彼女の運命を大きく変えます。統哉から古武術「八骸」の存在を教えられた将唯は、彼の指導のもとで八骸を習得し始めます。

しかし、統哉が部に留まることを快く思わない先輩部員たちからの襲撃を受け、逆に彼らを打ち負かしてしまいます。この事件により、空手部のメンバーが負傷し、将唯と統哉は高校全国大会の地区大会に出場せざるを得なくなります。しかし、1回戦で反則負けを繰り返し、2回戦からは出場停止処分を受けてしまいます。

創立以来、全国大会出場を続けていた空手部の恥とみなされた将唯は、OB会から制裁を受けます。実戦空手である八骸のさらなる手掛かりを求めて長野県を訪れた将唯は、柳井平助（やない へいすけ）と出会い、彼のもとで山篭りをして八骸を身につけます。

OBらが所属する真武連（しんぶれん）の怒りを買った将唯たちは、真武連と敵対する真至会（しんしかい）が開催する大会に出場し、実戦の場で決着をつけることを決意します。大会で将唯たちは、真武連系の団体が送り込んだ選手たちを次々と打ち破り、勝ち進んでいきます。将唯は統哉に善戦するも、わずかに及ばず敗北してしまいます。勝ち残った統哉は、覇宗拳（はそうけん）の使い手である今川秋雲（いまがわ しゅううん）との激戦を制し、決勝に進出しますが、その後の影響を考慮し、自ら敗北を選びます。

その後、将唯たちはそれぞれ別の場所で修行に励み、さらに実力を磨きます。そして、真武連系の大会「銀王杯」に出場し、高校団体の部で優勝を果たします。個人戦では、先の大会で手を抜かれたと憤慨し、復讐に燃える真至会ナンバー1の実力者である秋山（あきやま）や、高校の主将で密かに八骸を身につけていた榊計（さかき けい）が待ち受けていました。将唯と統哉は、激戦を繰り広げながら決勝戦へと駒を進めます。しかし、決勝戦を前に、彼らが大会を棄権するよう脅迫するための人質として、真夕未（まゆみ）と奈恵花（なえか）が誘拐される事件が発生します。救出のため、統哉と榊が現場へ向かい、事件はあっけなく解決します。大会会場で将唯は統哉の帰りを待ちます。

主要登場人物

女王将唯（めのう しょうい）
本作の主人公。金と権力を持つ一族の出身で、普段は気楽でお調子者な性格ですが、父親の死をきっかけに「終わりたくない」という強い感情を抱き、空手を始めます。
力師丸統哉（りきしまる とうや）
将唯の父のボディガードを務めていた父を亡くし、父から習った八骸を武器に将唯に近づきます。冷静沈着で、八骸の才能に長けています。
榊計（さかき けい）
将唯らが通う高校の空手部主将。当初は将唯を軽んじていましたが、全国大会での戦いを見て評価を改め、自らも八骸を習得します。
今川秋雲（いまがわ しゅううん）
覇宗拳波斬門の使い手。将唯の実力を認めつつも、彼の軽口には怒りを見せます。
女王真夕未（めのう まゆみ）
将唯のいとこ。美貌と冷静さを兼ね備え、事件に巻き込まれるも、動じない強さを見せます。

その他の登場人物

柳井平助（やない へいすけ）
八骸を伝える数少ない人物の一人。将唯と統哉に八骸を教えます。
花山重勝（はなやま しげかつ）
風水八骸の使い手。山奥に住み、統哉を鍛えます。
女王卓馬（めのう たくま）
女王グループの総帥で、将唯の叔父。将唯を後継者として育てようとします。
女王晃造（めのう こうぞう）
将唯の父。物語の1年前に暗殺されます。
力師丸誠士郎（りきしまる せいしろう）
統哉の父。晃造の秘書兼ボディガードでしたが、晃造と共に暗殺されます。
上杉奈恵花（うえすぎ なえか）
女王家の家政婦。真夕未と共に拉致されます。
北浦久（きたうら ひさし）
名渓高校空手部OB。将唯と統哉に制裁を加えようとしますが、返り討ちに遭います。
名立
真武連の名誉会員。将唯たちに懲らしめられます。
月村和馬
真武連の上田支部師範。真夕未らを拉致しますが、統哉と榊に倒されます。
三好
西邦商業の生徒。月村と共に拉致を実行しますが、失敗します。
鈴村東洋
伝説的な空手家。秋山を指導します。
秋山
鈴村東洋の弟子。将唯にリベンジを誓います。
朴陽山（パク・ヤンサン）
宗照雲の弟子。テコンドー道場を開いています。
宗照雲
覇宗拳波斬門の創始者。作中では既に故人です。

登場した流派・技

八骸（はっかい）
真田忍群の一人である女王将唯（めのうまさただ）が創始した武術。「鎧で固めた8人を一撃で骸に変える」という意味を持ち、奇襲を主体とする実戦的な格闘技です。
覇宗拳波斬門（はそうけんはざんもん）
宗照雲が創始した中国拳法。型ではなく実利を追求する点が八骸と共通しています。予測しづらい攻撃が特徴です。
真武連

* 真至会

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