ファイブフォークスの戦い

ファイブフォークスの戦い

ファイブフォークスの戦いは、1865年4月1日にバージニア州ピーターズバーグ近郊のディンウィッディー郡で繰り広げられた、南北戦争末期のアポマトックス方面作戦の一部です。この戦いは、南軍の最終的な敗北を決定づけた重要な戦いであり、「南軍のワーテルロー」と称されることもあります。

北軍のフィリップ・シェリダン少将は、南軍のロバート・E・リー将軍率いる北バージニア軍のジョージ・ピケット少将と対峙しました。ピケットの敗北は、リーがピーターズバーグ周辺の塹壕線を放棄する決断を下すきっかけとなり、その後の撤退を経て、4月9日のアポマトックス・コートハウスでの降伏へと繋がっていきました。

背景

3月31日のディンウィッディー・コートハウスの戦いの後、ピケットは北軍第5軍団からの援軍の到着を知り、ハッチャーズラン背後の陣地に後退を考えました。しかし、リーはピケットにハッチャーズランの手前で踏みとどまり、歩兵師団と3個騎兵師団でファイブフォークスの交差点を確保するよう命じました。ファイブフォークスとは、ホワイトオーク道路、スコッツ道路、フォーズ道路、そしてディンウィッディー・コートハウス道路が交差する地点を指します。

ピケット隊はホワイトオーク道路沿いに約2.8kmに及ぶ木材と土でできた防御線を構築し、両翼を騎兵隊で守りました。シェリダンの作戦は、騎兵隊で南軍を牽制しつつ、ガバヌーア・ウォーレン少将の第5軍団で南軍の左翼を集中攻撃するというものでした。しかし、誤った地図と情報により、シェリダンは南軍の左翼が実際よりも東にあると誤認していました。

ぬかるんだ道と生い茂る藪のため、北軍の動きは鈍く、ウォーレンが攻撃準備を完了したのは午後4時頃でした。シェリダンはこの遅れをウォーレンの指揮能力の欠如によるものと非難しました。シェリダンは、この作戦の初期からウォーレンを評価しておらず、グラントから必要であれば解任してもよいという秘密の許可を得ていました。しかし、シェリダン自身の騎兵隊も同様の問題に直面し、この戦いではほとんど戦果を上げられませんでした。

戦闘

シェリダンは、ウォーレンに対し、2個師団を前面に出し、3個目の師団を予備とする作戦を指示しました。右翼のサミュエル・クロウフォード少将の師団は、敵の防御線の端から斜めに攻撃し、左翼のロメイン・B・エアーズ少将の師団は、正面から攻撃することになっていました。しかし、誤った情報のため、実際の側面はシェリダンが考えていたよりも西に位置しており、クロウフォードの師団は前進するにつれて完全に戦線を見失い、エアーズの師団は左からの側面攻撃を受けることになりました。

北軍の2つの師団は、深い藪の中で方向を見失い混乱に陥りました。予備のチャールズ・グリフィン少将の師団は、混乱を増すよりは停止することを選択しました。ウォーレンは、副官を急派して攻撃方向を修正させようとしましたが、効果がなく、自ら馬で戦場を駆けつけ指揮を執りました。一方、シェリダンはエアーズの前衛と共に進み、自ら突撃を指揮してピケットの前線の左側面を突破しました。この場面は、当時の絵画やリトグラフで英雄的に描かれています。

南軍が新たな防衛線を築こうとする中、グリフィンの師団がエアーズの右側に出て攻撃しました。ウォーレンはクロウフォードの師団に北から戦闘に参加するよう命じました。シェリダンの騎兵隊がピケットの右翼を攻撃しましたが、南軍兵の逃走を阻止できませんでした。この戦いは北軍の決定的な勝利となり、ピケット隊の約3分の1が損失を被りました。

戦闘後

ピケットの軍歴に、また一つ不名誉な出来事が加わりました。攻撃時、彼は部隊から3km離れた場所で、フィッツヒュー・リーやトマス・L・ロッサー少将らとハッチャーズランの北で焼きシャッドを食べていました。ピケットは部下に自身の不在を伝えておらず、指揮官不在のまま戦いに突入していました。気象条件により戦闘の音が聞こえず、戦いが始まっていることに気づきませんでした。ピケットが戦場に戻った時には、すでに手遅れでした。

ファイブフォークスの交差点を失ったことで、リー軍にとって最良の逃走経路であるサウスサイド鉄道が脅かされることになりました。翌4月2日の朝、リーはジェファーソン・デイヴィス大統領に、ピーターズバーグとリッチモンドを明け渡さなければならないと伝え、グラントは手薄になった南軍の塹壕線に対して第三次ピーターズバーグの戦いの総攻撃を開始しました。

この戦いで、北軍のフレデリック・ウィンスロップ准将が戦死し、南軍では高評価を得ていた砲兵士官のウィリー・ペグラム大佐が致命傷を負いました。シェリダンは、ファイブフォークスへの接近における第5軍団の行動に不満を抱き、ウォーレンを指揮官から解任しました。

ファイブフォークスの戦場跡は、現在ピーターズバーグ国立戦場跡の一部として保存されています。

関連項目

アポマトックス方面作戦
東部戦線 (南北戦争)

参考文献

Trudeau, Noah Andre, The Siege of Petersburg, National Park Service Civil War Series, Eastern National, 1995, ISBN 0-915992-82-5.
National Park Service battle description

外部リンク

* Animated History of The Siege of Petersburg and Surrender at Appomattox

もう一度検索