アポマトックス方面作戦

アポマトックス方面作戦：南北戦争終結への道

アポマトックス方面作戦は、1865年3月から4月にかけて、アメリカ南北戦争の終結を決定づけた一連の戦闘です。バージニア州を舞台に、南軍のロバート・E・リー将軍率いる北バージニア軍と、北軍のユリシーズ・グラント中将率いる軍隊が激突しました。

背景：ピーターズバーグ包囲戦からの脱出

1864年6月以降、北軍はピーターズバーグ周辺でリー軍を包囲していました。両軍は厳冬期を塹壕戦で過ごし、その状況は後の第一次世界大戦を彷彿とさせました。しかし、南軍は補給線が次第に厳しくなり、リー将軍は包囲を突破する道を模索します。

1865年 3月25日、南軍はステッドマン砦の戦いで包囲突破を試みるも失敗。リー将軍は、北軍が最後の補給線であるサウスサイド鉄道を遮断するであろうことを悟り、ピーターズバーグからの撤退を決意しました。リー将軍は、自軍を南西へ撤退させ、リンチバーグで補給を得た後、ノースカロライナ州のジョンストン軍と合流し、北軍を撃破する計画を立てていました。

一方、北軍はシェリダン少将の騎兵隊やジェームズ軍を増強し、リー軍に対する攻勢を強めていました。

主要な戦闘

アポマトックス方面作戦は、以下の重要な戦闘で構成されています。

ルイス農園の戦い（3月29日）： 北軍はリー軍右翼を包囲するため、騎兵隊と歩兵部隊を南西へ進軍させ、攻勢を開始しました。
ホワイトオーク道路の戦い（3月31日）： 北軍の進軍に対し、リー軍も対応し、激しい戦闘が発生しました。
ディンウィディ・コートハウスの戦い（3月31日）： 北軍騎兵隊はリー軍右翼を包囲しようとしましたが、南軍騎兵隊と歩兵隊に阻止されました。
ファイブフォークスの戦い（4月1日）： この作戦の決定的な戦いとなり、北軍が南軍の補給線を守る重要な十字路を奪取しました。これにより、南軍は4,500名以上が降伏。リー将軍は、ピーターズバーグとリッチモンドの放棄を勧告しました。
第三次ピーターズバーグの戦い（4月2日）： 北軍はピーターズバーグ周辺の南軍前線を攻撃。この戦闘で南軍のA.P.ヒル将軍が戦死しました。
サザランド駅の戦い（4月2日）： 北軍はサウスサイド鉄道を確保し、南軍の補給を完全に遮断しました。リッチモンド市は放棄され、連合国政府は逃亡しました。
ナモザイン教会の戦い（4月3日）： 小規模な騎兵戦が起こり、リー軍はアメリア・コートハウスに到着しましたが、期待していた補給物資が届いていないことが判明。食糧の徴発を試みるも失敗しました。
アメリア・スプリングスの戦い（4月5日）： 北軍騎兵隊によってダンビルへの道が塞がれ、リー軍はリンチバーグへの撤退を余儀なくされました。
セイラーズクリークの戦い（4月6日）： 南軍の約8,000名が降伏。補給部隊も多くが捕獲されました。
ライス駅の戦い（4月6日）： ロングストリート軍団がピーターズバーグから到着した際に小競り合いが発生。
カンバーランド教会の戦い（4月7日）： 北軍が南軍後衛を攻撃しましたが、手詰まりとなりました。
ハイブリッジの戦い（4月6日-7日）： 北軍は橋の火を消し、アポマトックス川を渡って南軍を追撃しました。南軍はファームビルで補給を得る機会を失いました。
アポマトックス駅の戦い（4月8日）： 北軍騎兵隊が南軍の物資列車を捕獲し、リー軍の退路を断ちました。
アポマトックス・コートハウスの戦い（4月9日）： ジョン・B・ゴードン将軍の南軍は最後の抵抗を試みましたが、北軍に包囲され、リー将軍は降伏を決意しました。

戦いの後：南北戦争終結へ

アポマトックス方面作戦は、グラントとシェリダンの優れた戦略と執拗な追撃によって、南軍を破りました。リー将軍は最善を尽くしましたが、物資、兵士、そして運も尽きました。リー軍の降伏は、南部にとって大きな心理的打撃となり、残った南軍も1865年6月までに抵抗を止め、南北戦争は終結しました。

方面作戦の分類について

歴史家によっては、この作戦の分類について意見が分かれることがあります。本稿では、アメリカ合衆国国立公園局の分類に従いましたが、ウェストポイントの分類では、3月29日から31日の戦闘を「第二次ピーターズバーグ包囲戦」の一部とし、4月3日以降を「アポマトックス・コートハウスへの追撃、リーの敗北」として分類しています。

アポマトックス方面作戦