ファブリシオ・オベルト

ファブリシオ・オベルト：栄光に彩られたバスケットボールキャリア

ファブリシオ・ラウル・ヘスス・オベルト（Fabricio Raúl Jesús Oberto, 1975年3月21日- ）は、アルゼンチン・コルドバ州出身の元プロバスケットボール選手です。イタリア系アルゼンチン人であり、アルゼンチンとイタリアの二つの国籍を持ちます。身長208cm、体重111kgの体格を活かし、主にセンターとして活躍しました。背番号は7番。

プロ入りとヨーロッパでの活躍

17歳でアルゼンチンの名門クラブ、ADアテナス・デ・コルドバと契約し、プロキャリアをスタートさせました。アルゼンチンリーグでMVPに選ばれるなど、若くしてその才能を開花させます。1998年にはギリシャのオリンピアコスに移籍し、ヨーロッパでのプレーを開始。翌年にはスペインのタウ・セラミカ（現：バスコニア）へ移籍し、さらに2002年にはパメサ・バレンシアへと活躍の場を移しました。ヨーロッパでは確固たる地位を築き、その実力を世界に示しました。

NBAでの挑戦と栄光

2005年、オベルトはNBAのサンアントニオ・スパーズと契約します。31歳という年齢は、スパーズのチーム史上最高齢のルーキーでした。アルゼンチン代表のチームメイトであるマヌ・ジノビリとの共闘も話題となりました。ルーキーシーズンはNBAの激しいフィジカルコンタクトに苦労する場面もありましたが、2年目にはスターターとして起用される機会も増え、存在感を示しました。

特に2006年11月8日のフェニックス・サンズ戦では、フィールドゴール成功率100％（11本全て成功）で22得点を記録する活躍を見せました。オベルトはティム・ダンカンの黒子役というイメージが強いですが、リバウンドを得意とし、オフェンスにおいてもボールを持たない時のポジション取りに優れていました。また、数字には表れないものの、スクリーンプレーでトニー・パーカーやマヌ・ジノビリのペネトレーションを支え、チームの勝利に貢献しました。

スパーズ在籍時の2006-2007年シーズンには、NBAファイナルを制覇。アルゼンチン人として初めてNBAチャンピオンリングを手にするという快挙を成し遂げました。

2008-09シーズン後、ミルウォーキー・バックス、デトロイト・ピストンズを経て、ワシントン・ウィザーズで1シーズンプレー。2010-11シーズンにはポートランド・トレイルブレイザーズと契約しましたが、体調面の不安から開幕前に退団し、NBAでのキャリアを終えました。

アルゼンチン代表としての誇り

オベルトは1995年からアルゼンチン代表として活躍し、数々の国際大会でチームを勝利に導きました。2002年の世界選手権（インディアナポリス）では銀メダルを獲得し、2004年のアテネオリンピックでは、アメリカ代表を破り金メダルを獲得するという歴史的快挙に貢献しました。2006年の日本で開催された世界選手権にも出場し、NBA選手を中心に構成されたアルゼンチン代表の先発センターを務めました。2008年の北京オリンピックでも銅メダルを獲得するなど、アルゼンチン代表の黄金時代を支えた中心選手の一人です。

趣味と人柄

バスケットボール選手としての才能だけでなく、趣味のギターはプロ級の腕前であることでも知られています。温厚な人柄で、多くのチームメイトやファンから愛されました。

ファブリシオ・オベルトは、その実直なプレースタイルとチームへの貢献で、多くの人々の記憶に残る名選手です。

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