ファントマ 電光石火

ファントマ 電光石火

『ファントマ 電光石火』（Fantômas se déchaîne）は、1965年にフランスで公開されたコメディ映画です。20世紀初頭に人気を博したマルセル・アランとエミール・スーベストルによる同名小説シリーズを映画化した三部作の第二弾にあたり、前作『ファントマ 危機脱出』(1964年)に引き続き、アンドレ・ユヌベルが監督を務めました。主演は怪盗ファントマと彼に容貌が瓜二つな新聞記者ファンドールの二役を演じるジャン・マレー、その恋人エレーヌ役のミレーヌ・ドモンジョ、そしてファントマ逮捕に執念を燃やすジューヴ警視役のルイ・ド・フュネスです。本作では、前作よりもアクションやユーモラスな追跡シーンが強化され、活劇としての側面が強く打ち出されています。また、ルイ・ド・フュネスの息子であるオリヴィエ・ド・フェネスが、ミレーヌ・ドモンジョ演じるエレーヌの弟役として出演し、親子共演が実現したことでも知られています。

映画は、前作の物語を簡潔にまとめたアニメーションのオープニングタイトルから始まります。日本では2006年にリバイバル公開されました。

あらすじ

怪盗ファントマの捜査における功績が認められ、レジオンドヌール勲章を授与されたジューヴ警視。その華やかな祝賀会の最中に、不敵なファントマからのメッセージが届きます。ファントマは早速行動を起こし、共犯者たちと共に研究所へ侵入、マルシャン教授を拉致します。この事件を受け、ジューヴ警視は国民の不安を鎮めるべくテレビ番組に出演しますが、放送中の画面は突然ハイジャックされ、青い仮面をつけたファントマが姿を現し、さらなる犯行を予告します。

一方、ルフェーヴル教授は研究成果を発表する記者会見に臨んでおり、その場には新聞記者のファンドールと彼の恋人エレーヌも出席していました。エレーヌは、ルフェーヴル教授が危険に晒されていることを予感します。なぜなら、拉致されたマルシャン教授とルフェーヴル教授の研究テーマである催眠術とテレパシーは密接に関連しており、もし二人の研究成果がファントマのような犯罪者の手に渡れば、極めて危険な目的で悪用される可能性が高いからです。

ファントマ逮捕の機会を窺うファンドールは、ルフェーヴル教授に変装して彼の自宅を訪れ、ローマで開催される学会に身代わりとして出席する計画を提案します。エレーヌは、ルフェーヴル教授に変装したファンドール、そして弟のミシェルと共に、計画通り列車でローマへと向かいます。ファントマを追跡するジューヴ警視とベルトラン警部もまた、同じ列車に乗り込んでいました。しかし、自宅に残った本物のルフェーヴル教授は、ファンドールの拙い対応に憤慨し、自らローマへ赴くことを決意します。さらに、ファントマもルフェーヴル教授の精巧なラテックス仮面を被って学会会場に潜入していたため、学会場には結果的に三人の「ルフェーヴル教授」が現れる異常事態となり、大混乱を引き起こします。ジューヴ警視やファンドールの計画は失敗に終わり、その騒動の中でエレーヌ、ミシェル、そして本物のルフェーヴル教授がファントマ一味によって誘拐されてしまいます。

偶然にも仮装舞踏会の情報を掴んだファンドール、ジューヴ警視、ベルトラン警部は、ファントマを捕えるため秘密兵器を用意して作戦を実行しますが、逆にファントマとその部下たちによって捕らえられ、関係者全員がファントマの巨大な地下基地に監禁されてしまいます。しかし、事態は思わぬ方向へ転じます。基地に囚われていたマルシャン教授とルフェーヴル教授は、一定距離から人間に催眠術をかけることができる装置を開発しており、マルシャン教授はそのテレパシー装置を用いて武装したファントマの部下たちを無力化し、ファンドールとジューヴ警視の脱出を支援します。形勢が逆転したことを知ったファントマは即座に逃走を図り、ファンドールとジューヴ警視は車で追跡を開始します。しかし、ファントマのシトロエンDSは、格納式の翼とジェットエンジンを備えた特殊車両であり、瞬く間に飛行機に変形して空へと飛び立ち、追跡を振り切ろうとします。追跡を諦めないジューヴ警視とファンドールは、駐機していた飛行機に乗り込んで再びファントマを追いかけます。ジューヴ警視は用意したテレパシー装置を用いて空中戦を仕掛けようと飛行機の扉を開けますが、落下傘がないまま機外に投げ出されてしまいます。ファンドールは慌てて落下傘を使い、間一髪でジューヴ警視を救助しますが、その間にファントマは遙か彼方へと逃亡し、再びその姿を消すのでした。

スタッフ

監督：アンドレ・ユヌベル
原作：マルセル・アラン、エミール・スーベストル
脚本：ジャン・アラン、ピエール・フーコー
撮影：レイモン・ルモワーニュ
音楽：ミシェル・マーニュ

キャスト

ジャン・マレー
ミレーヌ・ドモンジョ
ルイ・ド・フュネス
オリヴィエ・ド・フェネス
他

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