ファーガス・ミラー

サー・ファーガス・グラハム・バーソロミュー・ミラー（Sir Fergus Graham Burtholme Millar, 1935年7月5日 - 2019年7月15日）は、イギリスの著名な古代ギリシア・ローマ史学者です。1976年にイギリス学士院フェローに選出され、その後、オックスフォード大学のキャムデン記念古代史教授（1984年–2002年）を務めました。2010年には、その学術的功績が認められ、ナイト・バチェラーの称号を授与されました。

ミラーは古典研究の分野で顕著な業績を残し、2005年にはイギリス学士院よりケニオンメダルを受賞しています。彼は20世紀における最も重要な古代史家の一人と広く認識されています。

生涯と学歴

ミラーはオックスフォード大学のトリニティ・カレッジとオール・ソウルズ・カレッジで学び、古代史と哲学を修めました。1958年に卒業後、1962年に博士号を取得しました。その後、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの古代史教授を経て、1984年にはオックスフォード大学の古代史教授に就任しました。また、ブレーズノーズ・カレッジ (オックスフォード大学)のフェローも務めています。2002年まで、オックスフォード大学キャムデン記念古代史教授の地位にありました。

ミラーは学会活動にも積極的に参加し、1975年から1979年までローマ学会誌の編集者を務めました。1992年から1993年には英国古典学会の学会長となり、1976年に研究員に選ばれて以来、英国アカデミーの様々な役職を歴任しました。古代ローマとギリシア史の権威として、オックスフォード大学とヘルシンキ大学から名誉学位を授与され、海外の学会の会員にも選出されています。

業績

ミラーは数多くの著作を発表し、古代史研究に多大な貢献をしました。初期の代表作である『ディオ・カッシウスの研究』によって、その学問的な名声を確立しました。また、『近東ローマ』においては、アジア地域におけるローマ文化の受容に関する従来の歴史観を覆し、新たな視点を提示しました。

帝政ローマ時代の近東属州やローマ皇帝に関する研究に加えて、共和政ローマに関する研究も重要な業績として挙げられます。彼は、マティアス・ゲルツァーらが提唱したノビリティ（貴族）支配に関するパトロネジ論を批判し、民会における市民の自由意志をより重視する立場から、共和政ローマを寡頭政ではなく民主政と捉える新たな解釈を提唱しました。この主張は、彼の著作『共和政後期のローマの群衆』（1998年）で詳細に展開されています。その他、主な著作として『政治思想としてのローマ共和政』（2002年）などがあります。

2010年には、長年の学術的な功績が認められ、女王陛下の誕生記念日に騎士の称号を授与されました。

ファーガス・ミラーの研究は、古代史研究に大きな影響を与え、後世の学者に多大な示唆を与え続けています。

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