ファーストクレジット

ファーストクレジット

ファーストクレジットは、かつて日本に存在したノンバンクの一つであり、主に不動産を担保とした融資事業を展開していました。

沿革と経営破綻

この企業は、バブル経済崩壊後の金融再編の波に飲まれた旧日本長期信用銀行（長銀）の系列会社として設立されました。しかし、母体であった長銀が経営に行き詰まり、公的資金注入を経て新生銀行として新たなスタートを切る中で、ファーストクレジットもまた厳しい状況に直面します。親会社となった新生銀行は、ファーストクレジットに対して会社更生法の適用を東京地方裁判所に申し立てました。この申し立てが受理され、ファーストクレジットは2002年3月7日に事実上の経営破綻に至りました。

破綻後、ファーストクレジットの事業再生に向けて新たな展開が始まります。まず、米国の投資ファンドであるローンスターが同社の事業を一時的に引き継ぎました。その後、ローンスターから日本の金融機関である住友信託銀行へ、約1300億円とされる金額で売却されました。住友信託銀行グループの一員となった後、経営の立て直しが進められ、2007年4月6日には、日本の主要な格付機関である日本格付研究所（JCR）より、長期優先債務について「A+」という格付けを取得するまでに信用力を回復させました。

事業譲渡による終焉

しかしながら、その後の金融情勢や市場環境の変化により、再び経営状況が悪化します。グループ内での事業再編が進められる中で、2010年4月には、同じ住友信託銀行グループ傘下にあった住宅ローン専門会社、ライフ住宅ローンとの間で経営統合を行う方針が決定されました。そして、この方針に基づき、2010年9月にはファーストクレジットの主要な事業がライフ住宅ローンへと譲渡されることになりました。この事業譲渡に際して、事業を引き継いだライフ住宅ローンは、社名を「住信不動産ローン・アンド・ファイナンス」（通称：住信L&F）へと変更しました。主要事業の譲渡を終えたファーストクレジットは、その歴史的役割を終え、清算手続きに入りました。

事業承継会社のその後

ファーストクレジットから事業を引き継いだ住信不動産ローン・アンド・ファイナンス（住信L&F）も、その後さらなる組織再編の影響を受けます。親会社である住友信託銀行が中央三井トラスト・ホールディングスとの経営統合を行い、現在の三井住友トラスト・ホールディングスが発足したことに伴い、住信L&Fもまた社名を「三井住友トラスト・ローン・アンド・ファイナンス」へと変更し、現在に至っています。

イメージガール

ファーストクレジットは、企業活動の一環として、一般消費者への認知度向上やイメージアップのために、著名人をイメージキャラクターとして起用していました。過去には、人気女優である山口智子さんをはじめ、河口りかさん、菊池優子さん、水谷純子さん、沼倉絵里子さんといった方々が、同社のイメージガールを務めていた時期がありました。

このように、ファーストクレジットは、旧長銀の系列から経営破綻、外資ファンドによる買収、国内金融機関への売却、そしてグループ内での事業譲渡と清算に至るまで、日本の金融業界の激動期を象徴するノンバンクの一つでした。

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