ファー・アウェイ (曲)

スレイド「ファー・アウェイ」：時代を超えて愛される名曲の魅力

「ファー・アウェイ」（原題: Far Far Away）は、イギリスのロックバンド、スレイドが1974年に発表した楽曲です。5作目のオリジナル・アルバム『狂乱の炎』からの先行シングルとしてリリースされ、全英シングルチャートで最高位2位を獲得するなど、大きな成功を収めました。作詞作曲はノディ・ホルダーとジム・リー、プロデューサーはチャス・チャンドラーが担当しました。

誕生の背景

1974年当時、スレイドはシングルやアルバムのチャートで上位を占めるなど、人気絶頂期を迎えていましたが、バンド内にはマンネリ感が漂っていました。そんな中、マネージャーのチャス・チャンドラーは、バンドが出演する映画を制作することを提案。ホルダーとリーは、映画のサウンドトラックのために楽曲を書き始めました。この試みは、バンドにとって新たな方向性を開拓するきっかけとなり、サウンド面でも様々なアイデアが取り入れられました。

本作の歌詞にある「I see the yellow lights go down the Mississipi」というフレーズは、ホルダーが全米ツアー中に滞在したメンフィスのホテル、ミシシッピ川を見下ろすバルコニーからの眺めからインスピレーションを得たものです。ホルダーは部屋に戻ってから30分後には、「Letting Loose Around the World」というタイトルの本作の原型を完成させました。その後、リーによってコーラスの歌詞が加えられ、現在の形となりました。

ジム・リーは1984年に、「『ファー・アウェイ』はノディと僕の本物の共同作だ。ヴァースをノディ、コーラスを僕が書いた。うわついたバレル・ハウスのような曲をやりたかったんだけど、チャスはあまり乗り気じゃなかった。」と語っています。ノディ・ホルダーとドン・パウエルは後に、本作をスレイドのお気に入りの楽曲として挙げています。

リリースとプロモーション

「ファー・アウェイ」は、イギリスをはじめ、アイルランド、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランド、フィリピンなど、様々な国で7インチシングル盤として発売されました。イギリスでは1974年10月11日に発売され、B面には「昨日は昨日」が収録されました。両曲とも、後に発売されたアルバム『狂乱の炎』に収録されています。

1975年には、スミスクリスプより「チャート・バスターズ」シリーズの一つとして、本作のソノシート（7インチ）が発売されました。ソノシートでは、B面が「メモリー」に差し替えられています。1989年にオランダで発売された再発盤のB面には「ハウ・ダズ・イット・フィール」が収録され、同年にCDで発売されたシングル盤『メリー・クリスマス・エヴリバディ』のB面にも収録されました。

1992年には、ドイツ映画『Go Trabi Go 2 : Das war der Wilde Osten』で使用され、翌年にはC&Aのテレビ広告「Don Quixote」でも使用されました。テレビ広告の人気を受けて、1994年にドイツで本作の7インチシングル盤とCDシングル盤が再発売され、同国のシングルチャートで最高位19位を獲得しました。

ミュージック・ビデオは、映画『スレイド・イン・フレイム』のスタッフによって撮影・制作されました。映画と同じ衣装を着用したメンバーが演奏する様子が収められています。また、ドイツの音楽番組『Disco』やオランダの音楽番組『TopPop』など、テレビ番組でも演奏されました。

メンバー

ノディ・ホルダー - リード・ボーカル、ギター
デイヴ・ヒル - リードギター、バッキング・ボーカル
ジム・リー - ベース、オルガン、バッキング・ボーカル
ドン・パウエル - ドラム

「ファー・アウェイ」は、スレイドの音楽性を代表する楽曲として、今もなお多くのファンに愛され続けています。

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