フアン・グアイド

フアン・グアイド：ベネズエラの政治家

フアン・ヘラルド・グアイド・マルケス（Juan Gerardo Guaidó Márquez）は、1983年7月28日生まれのベネズエラの政治家です。彼は、ウゴ・チャベスやニコラス・マドゥロといった反米左翼政権に対する反体制派として知られています。

生い立ちと経歴

グアイドは、1983年にバルガス州（現在のラ・グアイラ州）で生まれました。中産階級の家庭で育ち、1999年の「バルガスの悲劇」と呼ばれる大規模な土砂災害を経験。この災害における政府の対応に不信感を抱き、政治への関心を深めたと言われています。

2007年にカトリカ・アンドレス・ベジョ大学で産業工学の学位を取得後、ジョージ・ワシントン大学や高等行政研究学校でも学びました。その後、ジャーナリストのファビアナ・ロサレスと結婚し、一児をもうけています。

政治活動

学生時代からチャベス政権に批判的であり、2007年には反政府的な独立テレビ局RCTVの放送免許更新を認めなかったことに対する抗議運動に参加。同年には、チャベスによる憲法改正国民投票にも反対しました。

2009年には、レオポルド・ロペスらとともに野党大衆意思党を創設。この党は社会主義インターナショナルに加盟しており、グアイドの政治的立場は「中道」とされています。2010年には国民議会の補欠議員に当選し、2015年にはバルガス州選出の議員となりました。

2018年12月には国民議会議長に選出され、2019年1月、マドゥロ大統領の2期目就任の正統性を否認するとともに、憲法233条を根拠に暫定大統領就任を宣言し、大統領選挙のやり直しを求めました。この宣言は、アメリカをはじめとする西側諸国から承認を受けましたが、マドゥロ政権や最高裁判所からは承認されませんでした。

暫定大統領としての活動

グアイドは、暫定大統領として、アメリカに人道支援を要請し、アメリカ政府はこれに応じました。しかし、ベネズエラ国内は依然としてマドゥロ政権が実効支配しており、グアイドの実効支配領域は存在しませんでした。

2019年2月には、アメリカの支援物資をベネズエラ国内に搬入しようとしましたが、マドゥロ政権によって国境が封鎖され、治安部隊との衝突が発生しました。

グアイドは、コロンビアやブラジルを訪問し、中南米諸国やカナダとの連携を模索。マドゥロ政権への圧力強化を呼びかけましたが、軍事力行使は拒否されました。

暫定大統領からの失脚

2020年12月6日の総選挙は野党がボイコットし、グアイドも出馬しませんでした。2021年1月5日には新議会が招集され、ホルヘ・ロドリゲスが新議長に就任。これにより、グアイドは国民議会議長の地位を失いました。

その後、グアイドの強硬な姿勢は野党勢力からも反発を受け、2022年12月30日には正義第一党を含む3つの野党の提案に基づき、暫定政府の解散が野党派国民議会で可決され、暫定大統領および野党派国民議会議長の地位を失いました。

アメリカ合衆国国務省は2023年1月3日の記者会見で2015年の国民議会の支持を改めて表明しましたが、グアイドの暫定大統領の承認については言及を避けています。

グアイドを承認していた国

2019年2月28日時点で、多く西側諸国がグアイド暫定大統領を支持していました。

北米: アメリカ合衆国、カナダ
ヨーロッパ: イギリス、フランス、ドイツ、スペイン、その他多数の国
アジア太平洋: 日本、韓国、イスラエル、オーストラリア
南米: ブラジル、アルゼンチン、コロンビア、チリ、ペルー、その他
* 中米: コスタリカ、パナマ、ドミニカ共和国、その他

グアイドの政治的キャリアは、ベネズエラの政治的混乱を象徴するものであり、彼の活動は国内外に大きな影響を与えました。

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