フィアット・バルケッタ

バルケッタ（Barchetta）

バルケッタは、イタリアの自動車メーカー、フィアットが1995年から2002年にかけて生産した2シーターオープンカーです。その名はイタリア語で「小舟」を意味し、デザインにも海や舟の優雅さが反映されています。バルケッタの登場は、フィアットにとってX1/9以来の小型スポーツカーとしての新たな試みでした。

概要

このモデルは、フィアットのプントを基にしたプラットフォームを使用した前輪駆動の車両です。オープンカーとしての構造を強化するために多くの改良が施され、ホイールベースはプントよりも短縮され、よりスポーティなハンドリングが実現されています。デザインはフィアット社内で手掛けられ、当時の自動車デザイナーであるアンドレアス・ザパティナスによる原案が基盤になっています。特に特徴的なレトロな外観は、かつてのフィアット・850スパイダーを彷彿とさせるものであり、古いフェラーリやジャガーのスタイリングからインスパイアされた部分もあるとフィアットは語っています。

エンジンは専用に開発された1,747cc直列4気筒のDOHCで、最高出力130PS（約96kW）を発生し、最高トルクは16.7kgf·m（164Nm）に達します。トランスミッションは5速MTが用意され、ドライバーにスポーティな運転体験を提供します。しかし、左ハンドル仕様のみの設計であったため、日本やイギリスへの輸出は行われましたが、特にイギリスでは右ハンドル車の不在が販売に影響を与えました。

バルケッタの生産は、ランチア・デルタHFインテグラーレを製造していたカロッツェリア・マッジョーラに委託されていましたが、同社の倒産により2002年には一時生産を終了せざるを得ませんでした。

ニューバルケッタ

2004年7月には、バルケッタのマイナーチェンジモデル、「ニューバルケッタ」が発表されました。シャシやエンジンに大きな変更はありませんが、ホイール・タイヤは15インチから16インチにサイズアップされ、初代ではオプションであったアルミホイールが標準装備となりました。さらに、外装デザインは当時流行していたシングルフレームグリルが採用され、フロントバンパーやリアバンパーのデザインも一新されています。この改良によって、初代モデルよりも上質感が増したものの、車両重量は20kg増加してしまいました。

生産はフィアット社内で行われ、ニューバルケッタもファンたちに愛される存在となりました。

結論

バルケッタは、そのユニークなデザインと楽しい走行性能で、多くの自動車愛好者に支持されてきました。オープンカーやスポーツカーに興味がある方には、その魅力をぜひ体験してみることをおすすめします。

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