フィアット・リトモ

フィアット・リトモ (RITMO)

リトモは、フィアットが製造した小型乗用車で、1978年にデビューしました。このモデル名はイタリア語で「リズム」を意味しており、その名の通り感覚的なデザインと走行性能が特徴の車です。主にイギリスやアメリカでは「フィアット・ストラーダ」として知られています。リトモは、フィアット・128の後継モデルとして、トリノ・モーターショーで発表されました。

車の概要

リトモのボディタイプは、3ドアおよび5ドアのハッチバック型で、デザインには丸形2灯のヘッドランプや一体型の樹脂製バンパーが用いられています。この車は、フォルクスワーゲン・ゴルフと競合しており、特にアメリカ輸出モデルは大型の5マイルバンパーを装備していました。日本への初期輸入もこの仕様でした。

車の基本的なメカニズムは、128から引き継がれており、横置きエンジンを前輪駆動で駆動します。サスペンションの構造も128と同様で、先進的なフロントマクファーソン・ストラットが採用されています。また、エンジンは当初1.1リットルから1.5リットルの直列4気筒SOHCエンジンが搭載され、パフォーマンスの異なる3つのグレードに分かれました。1980年にはディーゼルエンジンも加わり、リトモの選択肢が広がりました。

1981年には「リトモ・スーパー」が登場し、エンジン出力が向上しました。さらに、1982年にはマイナーチェンジが実施され、外観が一新されました。デザインの変更では、バンパーとフロントグリルの分離や、ヘッドランプの丸形から4灯式への変更が行われ、より現代的な印象を与えました。

1983年にはリトモを基にした3ボックスセダン「レガータ」も発表され、人気を博しました。1985年のマイナーチェンジではデザインにさらなる改良が加えられ、1986年にはターボディーゼル仕様がリリースされ、性能が更に強化されました。リトモは1988年に生産を終了し、その後継車としてティーポが発表されました。

リトモ・アバルトシリーズ

リトモの特別仕様として、フィアットのチューニング部門アバルトが手掛けた「リトモ・アバルト」シリーズも存在します。このシリーズには、2.0リットルのDOHCエンジンを搭載した高性能モデルがラインナップされました。「リトモ・アバルト130TC」は、特に日本市場で人気を集め、軽快で力強い走行性能が好評でした。車両本体価格が297万円と比較的手頃で、他のフィアット車と共に販売増に寄与しました。

モータースポーツでの活躍

リトモはモータースポーツの場でも輝かしい実績を残しました。特に、世界ラリー選手権（WRC）では1979年から131を支える形で活躍し、数々のレースに出場しました。また、アリタリアカラーで「リトモ 2000 アバルト」としてジロ・デ・イタリアに参加し、2位の成績を収めました。競技用モデルの「130TC」は1984年頃からさらに競技に使用されましたが、1986年にはフィアットのラリー活動が縮小されました。

関連情報

リトモの生産は1979年にスペインのセアトでも開始され、独自のモデル「セアト・ロンダ」として1986年まで生産されました。リトモはそのデザインの新しさと、コンパクトカーとしての性能の良さから、多くの実績を残した車でした。

もう一度検索