フィアット・1200/1500/1600カブリオレ

フィアット1200/1500/1600カブリオレは、1959年から1966年までイタリアの自動車メーカー、フィアットによって生産された2座席のオープンカーです。これらのモデルは、フィアット1100をベースとしていた既存の「1100-103TVトランフォルマビーレ」に代わるものとして登場しました。カロッツェリア・ピニンファリーナが手掛けた正統派イタリアンデザインのボディは、その美しさで多くの人々を魅了しました。

モデルのバリエーション

1200カブリオレ: 1957年秋に登場した1200グラン・ルーチェの上級版として、1,221cc 55馬力のエンジンと4速ギアボックス（ローギアはノンシンクロ）を搭載。ギア比はクロスレシオ化され、フロアシフトが採用されました。
1500カブリオレ: オスカが1200のエンジンをDOHC化し、1,491cc 90馬力にパワーアップ。タイヤサイズも14インチから15インチに拡大され、ブレーキも強化されました（四輪ドラムブレーキながら1800用を流用）。

性能

1200カブリオレは車両重量920kgで、最高速度145km/hを記録。一方、1500カブリオレは960kgの重量で、最高速度170km/h、0-400m加速は20秒前後というスポーティな性能を誇りました。これらのモデルは、小型スポーツカーとして優れたスタイルと軽快な走行性能が高く評価され、当時の日本にも輸入されました。1963年の第1回日本グランプリにも出場するなど、MGAやトライアンフ・TR4といった人気車種と肩を並べる存在でした。

進化

1962年には1500カブリオレのブレーキが1800B同様の四輪ディスクブレーキに進化。1963年には、ツインチョーク・ウェバー気化器を2基搭載し、100馬力にパワーアップした高性能版の1600Sカブリオレが追加されました。

1964年には、ベースシャシーが新しい1500のものに変更され、従来の1200がOHV1,481cc 72馬力、最高速度160km/hの新「1500カブリオレ」となりました。従来の1500は廃止され、1600Sに統合。この変更に伴い、フロントサスペンションが新しくなり、全車にサーボ付き四輪ディスクブレーキが装備されました。外観上では、フロントグリルが車幅一杯に拡大され、1600Sは4灯式ヘッドライトとなりました。

1965年夏には、1500/1600Sともに新しいフルシンクロ5速ギアボックスが搭載され、1500のエンジンは75馬力に強化されました。タイヤも1500が145SR14、1600Sが155SR15のラジアルタイヤに変更されました。

生産終了

1966年秋のトリノ・ショーでは、同じピニンファリーナがデザインした124スポルト・スパイダーが発表され、翌年から市販されることになりました。これに伴い、1500/1600Sカブリオレは1966年をもって生産を終了しました。

これらのモデルは、その美しいデザインとスポーティな性能で、多くの自動車ファンを魅了し、フィアットの歴史において重要な役割を果たしました。

出典：高島鎮雄著「世界の自動車・28 フィアット」二玄社

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