フィデナエ

フィデナエ：古代都市の盛衰

フィデナエ（Fidenae）は、古代ローマ時代に存在した都市であり、現在のローマから北へ約8キロメートルの地点、ティベリス川沿いに位置していました。元々はエトルリア人の都市として建設され、その立地からラティウムとエトルリアの境界付近に位置し、ローマとの間で幾度となく帰属が変わるという歴史を歩みました。

都市の起源と変遷

都市の起源はエトルリア人に遡ります。ティベリス川がラティウムとエトルリアの境界となっていた時代、フィデナエはラティウム側に位置していました。これは、エトルリア人がラティウムへと勢力を拡大していたことを示唆しています。都市は、現在のローマ市内であるヴィラ・スパダの丘の上に建設されたと考えられていますが、現存する建物や城壁の痕跡はほとんどありません。しかし、都市の北側には、ローマ時代以前の墓地が残されています。

ローマ時代に入ると、都市は丘の東側の麓に発展しました。1889年には、フィデナエ元老院からマルクス・アウレリウス帝への奉献碑文がある集会所（クリア）が発掘され、ローマ時代の建物の遺跡も見ることができます。

ローマとの紛争の歴史

フィデナエは、その立地条件からローマとの間で何度も紛争を繰り返しました。特に、同じエトルリア人の都市であるウェイイとは運命を共にすることが多く、ローマとの間で帰属が頻繁に変わりました。

王政ローマ時代

ローマの伝説によれば、紀元前8世紀、初代ローマ王ロムルスはフィデナエとウェイイを打ち破ったとされています。また、第3代ローマ王トゥッルス・ホスティリウスの時代にも、両都市は再びローマに敗北しています。

共和政ローマ時代

紀元前509年、ローマを追放された最後の王タルクィニウス・スペルブスは、復位を目指してエトルリアに支援を求めましたが失敗。その後、クルシウム王ラルス・プルセナスの支援を得てローマを包囲しますが、最終的には講和して帰国しました。

紀元前505年には、サビニ人がローマに王政を復活させるべく、フィデナエとカメリアからの援軍を得てローマに侵攻しますが、敗北。翌年には、フィデナエ近郊で再び戦いが生じますが、これもローマの勝利に終わります。フィデナエは包囲され降伏、指導者たちは処刑されました。

紀元前437年、ウェイイ王ラルス・トルミウスは、ウェイイ、フィデナエ、ファルスキ、カペナのエトルリア都市連合軍を率いてローマに挑みますが、トルミウスは戦死し、連合軍は敗北。

紀元前426年、ウェイイとフィデナエは再びローマと戦いますが、またも敗北。フィデナエは破壊され、住民は奴隷として売られました。

競技場崩壊事故

フィデナエはその後ローマの都市となりますが、紀元27年に悲劇が起こります。アティリウスという解放奴隷が建設した木造の円形闘技場（アンフィテアトルム）が崩壊し、数万人の死傷者を出す大惨事となりました。当時、ティベリウス帝はカプリ島に滞在していましたが、事故の知らせを受け、直ちに被災者の救援に駆けつけました。この事故を受け、元老院は剣闘士の闘技会開催に関する規制を強化し、円形闘技場の建設基準を厳格化しました。

まとめ

フィデナエは、エトルリア人の都市として誕生し、ローマとの間で幾多の戦いを経て、最終的にはローマの都市となりました。競技場崩壊事故という悲劇も経験しましたが、その歴史は古代ローマの興亡を物語る上で重要な位置を占めています。

参考文献

(参考文献のリストは必要に応じて追加してください)

関連項目

ローマ・エトルリア戦争
フィデナエの戦い (紀元前8世紀)
ウェイイとの戦い (紀元前8世紀)
フィデナエの戦い (紀元前7世紀)
フィデナエの戦い (紀元前437年)
* フィデナエの戦い (紀元前426年)

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