フィリップ・ファイソン

フィリップ・ケンボール・ファイソン：日本のキリスト教黎明期を支えた宣教師

フィリップ・ケンボール・ファイソン（Philip Kemball Fyson、1846年 - 1928年1月30日）は、英国聖公会宣教協会(CMS)から日本に派遣された宣教師であり、日本のキリスト教黎明期において重要な役割を果たしました。

生い立ちと献身

1846年、イギリスのサフォーク州、活気あるブリー・セイント・エドモンドで誕生。ケンブリッジ大学クライスト・カレッジで学び、信仰を深めました。1872年には祭司に任職され、ドライプール教会で献身的に奉仕しました。

日本での宣教活動

1874年（明治6年）4月、ファイソンは日本派遣宣教師として、ジョン・パイパーと共に来日し、東京に足を踏み入れました。来日後、日本語の習得に励み、1875年には新潟へ拠点を移し、伝道活動を開始しました。1882年には学校町に講義所を建設し、牧岡鉄弥、芥川清五郎らに洗礼を授けました。彼らの信仰を育み、地域社会にキリスト教の種を蒔いたのです。

聖書翻訳への貢献

ファイソンの貢献は伝道活動に留まりません。グイド・フルベッキやジェームス・カーティス・ヘボンらと共に、明治元訳聖書の翻訳という重要な事業に携わりました。聖書の日本語訳は、日本のキリスト教の発展に不可欠であり、彼の翻訳への貢献は計り知れません。

大阪三一神学校と北海道での活動

1889年には大阪三一神学校の校長に就任。後進の育成に尽力しました。その後、北海道地方部初代主教として派遣され、ジョン・バチェラーやウォルター・アンデレスらと共に、北海道におけるキリスト教の発展に貢献しました。アンデレスが1888年（明治21年）に函館に開設した靖和女学校や函館伝道学校の校長に就任し、教育を通じた伝道にも力を注ぎました。ミス・タプソンが婦人伝道師の養成を担い、コルバン博士が東川診療所を担当するなど、それぞれの専門性を活かした活動が展開されました。

晩年

1908年、ファイソンは長年の宣教活動を終え、イギリスに帰国し、静かな余生を送りました。1928年に生涯を閉じましたが、彼の日本におけるキリスト教への貢献は、今もなお語り継がれています。

参考文献

『日本キリスト教歴史大事典』教文館、1988年
高橋昌郎『明治のキリスト教』吉川弘文館、2003年

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