フィリップ・ヘレヴェッヘ

フィリッペ・ヘレヴェーゲ

フィリッペ・ヘレヴェーゲ（Philippe Herreweghe）は、1947年5月2日生まれのベルギー出身の指揮者であり、特にバロック音楽の演奏においてその名を馳せています。彼は多様な音楽スタイルに精通しており、バッハの作品から新ウィーン楽派まで幅広いレパートリーを持つことで知られています。彼の演奏スタイルは、正統的な歴史考証に基づいたピリオド奏法に根差しており、その結果、彼は今日のバッハ研究の主要な権威の一人として評価されています。また、60を超える録音を残しており、特に「ハルモニア・ムンディ・フランス」レーベルにおける活動からもその存在感は際立っています。

人物・来歴

ヘレヴェーゲは、ベルギーのヘントで生まれました。彼の音楽のキャリアは、イエズス会の少年聖歌隊での少年時代に培われた音楽的基礎にさかのぼります。医者の家庭に育った彼は、ゲント大学で心理学を専攻していましたが、同時にヘント音楽院で音楽を学び始めました。特に初期鍵盤楽器、すなわちオルガンやチェンバロの演奏に興味を持ち、1970年代にプロの音楽家としての道を選びました。

彼はコレギウム・ヴォカーレ・ヘントを創設し、医学の道を断念しました。ほどなくして、彼の音楽解釈がニコラウス・アーノンクールやグスタフ・レオンハルトによって注目され、彼はバッハ・カンタータ全集の録音に参加する機会を得ました。この頃から彼の名声は急速に高まり、特に海外での演奏が評価されるようになりました。1977年にはパリで古楽アンサンブル「シャペル・ロワイヤル」を設立し、フランスの音楽史における古典的な作品を取り上げるようになりました。

音楽的業績

ヘレヴェーゲはルネサンス音楽から現代音楽に至るまで幅広く活動し、ヨーロッパ声楽アンサンブルや、シャンゼリゼ管弦楽団、アンサンブル・ミュジック・オブリークといった様々な演奏団体を率いています。彼は古楽器と現代音楽の両方において、指揮者としてのスキルを発揮し、数多くの音楽団体を統率している稀有な存在です。

近年では、モダンオーケストラの指揮にも取り組んでおり、1997年から王立フランドル・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督を務めており、ピリオド奏法に基づくベートーヴェンの交響曲全集の録音に注力しています。彼の業績が認められ、1993年にはコレギウム・ヴォカーレと共にフランデレン音楽大使に選任され、1997年にはルーヴェン・カトリック大学から名誉博士号、2003年にはフランス政府からレジオン・ドヌール・シュヴァリエ章が授与されています。

彼の初来日は1998年で、シャンゼリゼ管弦楽団とコレギウム・ヴォカーレ・ヘントを指揮しました。

主要な録音作品

• - バッハ：マタイ受難曲（シャペル・ロワイヤル、ハルモニア・ムンディ）
• - バッハ：ヨハネ受難曲（コレギウム・ヴォカーレ・ヘント、ハルモニア・ムンディ）
• - バッハ：ミサ曲ロ短調（コレギウム・ヴォカーレ・ヘント、ハルモニア・ムンディ）
• - フォーレ：レクィエム 1893年版（アンサンブル・ミュジック・オブリク、ハルモニア・ムンディ）
• - ブルックナー：交響曲第7番（シャンゼリゼ管弦楽団、ハルモニア・ムンディ）
• - フランク：交響曲（同上）
• - ブラームス：ドイツ・レクイエム（同上）
• - シューマン：ピアノ協奏曲、チェロ協奏曲（同上）
• - メンデルスゾーン：真夏の夜の夢（同上）
• - メンデルスゾーン：オラトリオ《聖パウロ》（同上）
• - ベートーヴェン：交響曲第9番（同上）
• - モーツァルト：レクィエム（シャペル・ロワイヤル、ハルモニア・ムンディ）
• - ラモー：華麗なるインドの国々（同上）
• - シュッツ：音楽による埋葬（同上）

フィリッペ・ヘレヴェーゲは、その多才な指揮者としての賜物により、古楽から近現代の音楽へと幅広い領域で人々に感銘を与え続けています。

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