フィリップ6世 (フランス王)

フィリップ6世（Philippe VI de Valois）

フィリップ6世は、1293年11月17日に生まれ、1350年8月22日に亡くなったフランスの王で、ヴァロワ朝の初代君主です。彼は1328年から1350年まで在位し、アンジュー伯、メーヌ伯の称号も持っていました。フィリップの家族は、フィリップ3世の四男であるヴァロワ伯シャルルと初婚の妻マルグリット・ダンジューとの間に生まれました。最初の妃はブルゴーニュ公ロベール2世の娘であるジャンヌでした。彼の生涯の後半では、エヴルー伯とナバラ王国のフィリップ・デヴルーの娘ブランシュ・デヴルーとの再婚もありました。

生涯の概要

1325年、フィリップは父シャルルの死によってヴァロワ伯の位を継承しました。そして1328年、フィリップ4世の男子が途絶えたため、彼は貴族や聖職者たちの合議によってフランス王として即位することとなります。彼は女系を排除した王位継承ルール、すなわちサリカ法に基づいて選ばれました。この法律は過去にさかのぼり、ルイ10世の時代にはすでに適用されていました。

フランス王位を争ったエドワード3世の主張がありましたが、フィリップの即位は異議なく認められました。一方、ナバラ王国では女系継承が可能だったため、ナバラ女王フアナ2世が王位を継承します。このように、フィリップ6世の即位は複雑な背景を持っていました。

1328年から、フランドル地方では市民と農民の反乱が発生し、フィリップ6世はフランドル伯ルイ1世を助け、8月23日のカッセルの戦いで勝利を収めました。その翌年、王位候補に名を連ねていたエドワード3世が、フィリップに臣従の誓いを立てましたが、1333年にはエドワードとスコットランド王デイヴィッド2世の亡命問題が発生し、フランスとイングランドの関係に緊張が走ることとなりました。

これを受けて、フィリップ6世はエドワードにアキテーヌ公領の没収を宣言し、ついに1337年には英仏百年戦争が始まりました。戦争初期には、フィリップの艦隊はスロイスの海戦で敗北し、その後の1346年にはクレシーの戦いで大惨敗を喫します。この戦いではフランス軍が壊滅的な敗北を被り、フランス経済は深刻な影響を受けました。もちろんフィリップ自身も、戦争と疫病により国民を苦しめることとなりました。

幸運王の異名

その一方で、フィリップ6世は「幸運王」とも呼ばれました。彼の治世中にフランスは数多くの幸運に恵まれたためです。たとえば、1346年にクレシーの戦いでの敗北にもかかわらず、彼はその戦闘で命を落とすことはありませんでした。また、当時流行していた黒死病においても、フランスは他の国々よりも影響が軽微でした。さらには、彼の経済政策が功を奏し、フランスはヨーロッパの中でも裕福な国の一つとなりました。

子女

フィリップ6世は、1313年にジャンヌ・ド・ブルゴーニュと結婚し、以下の子供をもうけました。

• - ジャン2世（フランス王、1319年 - 1364年）
• - マリー（1326年 - 1333年） - ブラバン公ジャン3世の子ジャンと結婚
• - ルイ（1329年）
• - ルイ（1330年）
• - フィリップ（オルレアン公、1336年 - 1376年）
• - ジャンヌ（1337年）

また、1350年にブランシュ・デヴルーと再婚し、1人の娘をもうけました。

• - ジャンヌ（1351年 - 1371年）

結語

フィリップ6世の治世は困難な状況が続いていましたが、彼の名は多くの幸運に恵まれたことから「幸運王」と呼ばれています。彼の死後、長子のジャン2世が王位を継承し、フランス王朝の未来に影響を与えることとなりました。フィリップ6世は、フランスの歴史において重要な役割を果たした人物として記憶されています。

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