フィル・アーソ

フィル・アーソ（Phil Urso、1925年10月2日 - 2008年4月7日）は、アメリカのジャズ・テナーサックス奏者であり、作曲家としても知られています。特に、トランペット奏者チェット・ベイカーとの長年にわたる関係は、ジャズ史においても特筆すべきものです。

若き日の音楽との出会い

アーソは幼少期にクラリネットを学び始め、高校時代にはテナーサックスに転向しました。第二次世界大戦中はアメリカ海軍に従軍し、終戦後の1947年にニューヨークへと拠点を移します。この街で、彼は数多くの著名なミュージシャンとの共演を通じて、その才能を開花させていきました。

輝かしいキャリア

ニューヨークでの活動初期には、エリオット・ローレンス（1948年–1950年）やウディ・ハーマン（1950年–1951年）といったビッグバンドのリーダーたちと共演しました。その後も、テリー・ギブス、マイルス・デイヴィス（1952年）、オスカー・ペティフォード（1953年）、ジミー・ドーシー、ボブ・ブルックマイヤー（1954年）など、ジャズ界を代表するミュージシャンたちとの共演を重ねました。

1955年、アーソは初めてチェット・ベイカーと共演する機会を得ます。そして、1956年にリリースされたベイカーのパシフィック・ジャズ時代の作品において、彼は重要な貢献者となりました。アーソとベイカーは、その後約30年間にわたり、断続的に共同作業を続け、数々の名演を残しました。

その後の活動

1950年代後半には、クロード・ソーンヒルとの共演もありましたが、その後、アーソは次第に全国的な注目を集める機会が減っていきました。彼はデンバーに移住し、2000年代まで地元を中心に演奏活動を続けました。

ディスコグラフィー

リーダー・アルバム

Sentimental Journey (1956年、Regent) ※with ボブ・バンクス
Salute Chet Baker (2003年、Jazzed Media) ※with カール・サーンダース
The Philosophy of Urso: Phil Urso's 1953–1959 Sessions (2016年、Fresh Sound)

参加アルバム (一部抜粋)

チェット・ベイカー: 『アンド・クルー』 (1956年、Pacific Jazz)
チェット・ベイカー: 『チェット・ベイカー・ビッグ・バンド』 (1957年、Pacific Jazz)
チェット・ベイカー: 『プレイボーイズ』 (1957年、Pacific Jazz)
チェット・ベイカー: The Most Important Jazz Album of 1964/65 (1964年、Colpix)
チェット・ベイカー: 『ベイビー・ブリーズ』 (1965年、Limelight)
ルイ・アームストロング: 『ルイと天使たち』 (1957年、Decca)
ジェリー・マリガン & チェット・ベイカー: 『マリガンとベイカー!』 (1957年、Jazztone)
アート・ペッパー: 『アーティストリー・オブ・ペッパー』 (1962年、Pacific Jazz)
オスカー・ペティフォード: 『マイ・リトル・セロ』 (1953年、Debut)

参考文献

Phil Urso at Allmusic
Leonard Feather and Ira Gitler, The Biographical Encyclopedia of Jazz. Oxford, 1999, p. 659.
The New Grove Dictionary of Jazz, Second Edition, Volume 3, Edited by Barry Kernfeld, Grove, 2002, p. 816.

外部リンク

フィル・アーソ - Discogs（英語）

フィル・アーソは、その才能と多様な音楽性で、ジャズの歴史に確かな足跡を残したミュージシャンの一人です。

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