ボブ・ブルックマイヤー

ボブ・ブルックマイヤー：多才な才能でジャズ界を彩った音楽家

ボブ・ブルックマイヤー（Robert Edward Brookmeyer, 1929年12月19日 - 2011年12月15日）は、アメリカ合衆国ミズーリ州カンザスシティ出身のジャズ音楽家です。トロンボーン奏者として広く知られていますが、ピアニスト、編曲家、作曲家としても傑出した才能を発揮しました。

生涯

カンザスシティで生まれたブルックマイヤーは、幼少期から音楽に親しみ、10代の頃にはすでにプロとしての活動を開始していました。カンザスシティ音楽学校で音楽を学びましたが、卒業には至りませんでした。初期にはテックス・ベネキーやレイ・マッキンレーといったビッグバンドでピアニストとして活動し、その後、クロード・ソーンヒル楽団への参加を機にトロンボーンに専念するようになります。

1950年代には、スタン・ゲッツやジェリー・マリガンのバンドに在籍し、その才能を開花させました。特に、ジェリー・マリガンのカルテットには1954年から1957年まで在籍し、国際的な名声を得るきっかけとなりました。その後は、ジミー・ジュフリーとの共演や、再びマリガンのコンサート・ジャズ・バンドに復帰するなど、精力的な活動を展開しました。

1960年代に入ると、ニューヨークを拠点に、ナイトクラブやテレビ番組のハウスバンド、作曲家レイ・チャールズ（Charles Raymond Offenberg）の編曲など、幅広い分野で活躍しました。また、クラーク・テリーとのバンドを結成し、一定の成功を収めました。1965年には、テリーと共にBBC2の番組「Jazz 625」に出演し、その演奏を披露しました。

1968年にロサンゼルスに移住し、スタジオ・ミュージシャンとして活動する傍ら、アルコール依存症に苦しむ時期もありましたが、克服。その後ニューヨークに戻り、1979年にはサド・ジョーンズ / メル・ルイス・ジャズ・オーケストラの音楽監督に就任しました。この頃から、再び作曲活動を再開し、1980年代からはヨーロッパのジャズバンドのために作曲や共演を行うようになりました。また、オランダに音楽学校を創設・経営したり、ボストンのニューイングランド音楽学校で教鞭を執るなど、後進の育成にも尽力しました。

2005年には、クラウドファンディングプラットフォーム「ArtistShare」に参加し、自身のNew Art Orchestraによる3枚目のアルバム制作を発表。翌年、『Spirit Music』としてリリースされ、グラミー賞にノミネートされました。同年には、国民芸術基金の「ジャズ・マスター」に選出されるなど、その功績が高く評価されました。亡くなる直前には、ヴァンガード・ジャズ・オーケストラのアルバム『Forever Lasting』で8回目のグラミー賞ノミネートを果たしました。

2011年12月15日、ニューハンプシャー州ニューロンドンにて、82歳の誕生日を目前に逝去しました。

音楽性

ブルックマイヤーの音楽は、伝統的なジャズの要素を基盤としつつも、革新的なアプローチを取り入れた独自のスタイルが特徴です。トロンボーンの演奏においては、滑らかで温かみのある音色と、高度なテクニックを駆使した即興演奏で聴衆を魅了しました。また、作曲家、編曲家としても才能を発揮し、数多くのジャズ作品を手がけました。

ディスコグラフィー

（主要なリーダー・アルバム）

Bob Brookmeyer Quartet (1954年)
The Dual Role of Bob Brookmeyer (1955年)
Kansas City Revisited (1959年)
Gloomy Sunday and Other Bright Moments (1961年)
Oslo (1987年)
Spirit Music (2006年)

（参加アルバムは省略）

ボブ・ブルックマイヤーは、トロンボーン奏者、ピアニスト、編曲家、作曲家として、ジャズの分野で多岐にわたる貢献を果たしました。彼の音楽は、今もなお多くの人々に愛され、次世代の音楽家たちに影響を与え続けています。

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