フィンランド陸軍

フィンランド陸軍の概要

フィンランド陸軍（フィンランド語: Suomen maavoimat、スウェーデン語: Finlands armé）は、フィンランド国防軍の主要な構成要素であり、同国の陸上戦力を担っています。歩兵、機甲、砲兵、工兵、通信、需品といった様々な兵科で構成され、国土防衛、国民の権利保障、国際的な人道支援活動を主な任務としています。現在の司令官はパシ・ヴァリマキ中将が務めています。

主な任務

フィンランド陸軍は以下の3つを主要な任務としています。

1. フィンランドの領土防衛: 自国の領土と主権を守るための軍事力を維持します。
2. 国民の権利保障: 国内の安定を維持し、国民の安全と権利を保護します。
3. 国際的な人道支援活動: 国際社会における人道支援活動に貢献します。

これらの任務に加え、徴兵制度と予備役の管理も重要な役割です。フィンランドは第二次世界大戦後、直接的な軍事的脅威に晒されていませんが、常に有事に備えた訓練を実施しています。

歴史

前史

1809年から1917年まで、フィンランドはロシア帝国のフィンランド大公国として存在し、独自の軍隊組織を持っていました。それ以前のスウェーデン＝フィンランド時代にも軍隊組織がありましたが、大公国軍はスウェーデンの制度を引き継ぎつつも、ロシア帝国からの軍事的な必要性は低いものでした。

ナポレオン戦争の際、フィンランドで連隊や地形学部隊が組織され、後に士官学校へと発展しました。クリミア戦争では狙撃大隊が組織され、1878年には徴兵制も始まりましたが、20世紀初頭のロシア化政策により、大公国軍は解散させられました。その後、フィンランド人は帝国軍への入隊を拒否し、徴兵制度も一時廃止されました。しかし、ロシアへの不信感から自警組織が水面下で組織され、第一次世界大戦とロシア革命を経て、フィンランドは独立へと向かいました。

冬戦争

冬戦争勃発時、フィンランド陸軍は4つの旅団、9つの師団を中心に編成され、カレリア地峡やラドガ湖周辺でソビエト軍と激戦を繰り広げました。予備役兵も投入され、厳しい戦況の中、フィンランド軍は粘り強く戦いました。

継続戦争

1941年、継続戦争が勃発し、フィンランド軍はカレリア地方を奪還しました。しかし、1944年のソ連軍の攻勢により、フィンランドは多くの領土を失い、東カレリアからの撤退を余儀なくされました。タリ＝イハンタラの戦いで辛うじて防衛に成功し、ソ連軍の侵攻を食い止めました。

ラップランド戦争

ソ連との休戦後、フィンランドは今度はドイツ軍とのラップランド戦争に突入しました。フィンランド軍はドイツ軍をノルウェーへ撤退させることに成功しました。

現在の組織

現在のフィンランド陸軍は8つの旅団で構成され、そのうち2つは管轄地を持たない組織です。有事の際には、これらの旅団がそれぞれの管轄地域を中心に師団や大隊を形成します。陸軍の兵站は国防軍と共同で運営されています。

旅団一覧

機甲旅団
陸軍学校
近衛猟兵連隊
猟兵旅団
カイヌー旅団
カレリア旅団
ポリ旅団
ウッティ猟兵連隊

装備

フィンランド陸軍は、最新鋭の装備を保有しており、その主な装備品は以下の通りです。

主力戦車: 160両
歩兵戦闘車: 212両
装甲兵員輸送車（装軌車両）: 389両
装甲兵員輸送車（装輪車両）: 471両
迫撃砲: 1671門
牽引砲: 656門
自走砲: 72門
多連装ロケット砲: 22門
ヘリコプター: 27機
無人航空機: 30機

歴代最高司令官

2008年までは、国防軍参謀本部の防衛司令部が陸軍を指揮していましたが、その後陸軍参謀本部が創設され、以下の者が陸軍最高司令官を務めています。

フィンランド陸軍は、その歴史と伝統を尊重しつつ、現代の脅威に対応できるよう、常に進化を続けています。

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