フィービ (軽巡洋艦)

フィービ (HMS Phoebe): 地中海から東洋への激動の艦歴

イギリス海軍の軽巡洋艦「フィービ」は、ダイドー級軽巡洋艦として1937年9月2日に起工、1939年3月25日に進水、そして1940年9月27日に就役しました。その艦歴は、第二次世界大戦の激戦を象徴するものです。

1941年4月、地中海の第7巡洋艦戦隊に配属された「フィービ」は、地中海における作戦行動に従事しました。同年8月27日、バルディア沖でイタリア空軍の雷撃機による攻撃を受けました。雷撃を受け、右舷に魚雷が命中、8名の犠牲者を出しました。損傷した「フィービ」はアメリカ合衆国のブルックリン海軍工廠で修理を行い、1941年11月から翌年5月までドック入りしました。修理を終えイギリスに戻った「フィービ」は、1942年の夏に再び地中海に戻り、マルタへの船団護衛任務などに従事しました。しかし、同年10月23日、フランス領赤道アフリカへ向かう途中、コンゴ川河口沖でドイツ潜水艦U-161の雷撃を受け、大きな損傷を負いました。このため、1943年6月までアメリカで再び大規模な修理が行われました。

1943年10月、修理を終えた「フィービ」は地中海に戻り、エーゲ海での作戦に参加しました。1944年5月には東洋艦隊に転属となり、アンダマン諸島、サバン、ニコバル諸島に対する攻撃作戦に加わりました。その後、1945年1月にはビルマの戦いに参加、アキャブへの上陸作戦（ライトニング作戦）では砲撃部隊として待機しましたが、日本軍は既に撤退していたため、戦闘には参加しませんでした。しかし、続くラムリー島への上陸作戦（マタドール作戦）では砲撃支援を行い、さらにチェドバ島上陸作戦（サンキー作戦）にも参加しました。5月にはラングーン上陸作戦にも参加し、戦線で活躍しました。

第二次世界大戦後、「フィービ」は5年間地中海艦隊に所属し続けました。しかし、1956年、役目を終えた「フィービ」はスクラップとして売却され、解体されることとなりました。

「フィービ」の艦歴は、地中海から東洋へと舞台を変えながら、激動の時代を生き抜いた軽巡洋艦の姿を私たちに伝えています。イタリアの雷撃機やドイツの潜水艦の攻撃に耐え、幾度も修理を重ねながら戦い続けたその姿は、まさに不屈の精神の象徴と言えるでしょう。数々の戦闘に参加し、連合国の勝利に貢献した「フィービ」の功績は、決して忘れられることはありません。その艦歴は、歴史の証として、そして未来への教訓として、語り継がれていくべきでしょう。

参考文献

* Marco Mattioli, Savoia-Marchetti S.79 Sparviero Torpedo-Bomber Units, Osprey Publishing, 2014

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