折り畳み翼

折り畳み翼の詳細

折り畳み翼（おりたたみよく、folding wing）は、航空機が駐機する際に翼を折り畳むことができる機能を指します。この機能は、特に航空母艦のように限られた駐機スペースにおいて、航空機が占有する面積を削減するために不可欠です。

機構と利点

折り畳み翼の機構は、主翼を通常は胴体の上方に跳ね上げる構造となっており、これにより航空機が占有する床面積を小さくします。航空母艦のハンガーデッキは、垂直方向にもスペースの制限があるため、特に重要な機能となります。このような機体の例としては、スーパーマリン シーファイアやフェアリー ガネットが挙げられます。この機種では、翼端部を下方に折り畳む方式が採用されており、またロッキード S-3 ヴァイキングのように、垂直尾翼自体に折り畳み機構を持つ機体も存在します。

折り畳み翼の技術は、1913年に世界初の飛行機製造業者であるショート・ブラザーズ社が艦載機用に特許を取得したことに始まります。この技術により、航空機の主翼は胴体に沿って水平方向に折り畳まれ、格納スペースの効率化が実現しました。

歴史と進化

1930年代後半、単葉機が複葉機に取って代わると、艦載機のほぼ全てが折り畳み翼を装備するようになりました。ただし、ダグラス SBD ドーントレスやブリュースター F2A バッファロー、ダグラス A4D/A-4 スカイホークのように、小型の機体は折り畳み翼を必要としない場合もありました。また、機体によっては主翼を回転させる構造を採用するものもあり、多様な設計が存在します。

折り畳み翼は、固定翼に比べてその構造が複雑になりやすく、重量が増すというデメリットもあります。これを解決するために、油圧機構を用いて自動化された機種もありますが、飛行中はデッドウェイトになることがあります。

汎用性と応用

折り畳みの概念は航空機だけでなく、海軍が運用する多くのヘリコプターにも見られます。これらのヘリコプターは、艦上での収容空間を削減するために、ローターブレードを胴体に沿って折り畳む機構を備えています。加えて、陸上機として設計された機体の中にも、整備ハンガーに収容する際の高さや幅が大きすぎる場合に折り畳み機構が適用されることがあります。

例えば、ボーイング B-50 スーパーフォートレスやBoeing 377などの大型機では、お互いに重なり合う構造を避けるために、垂直尾翼が折り畳むことが可能です。近年ではボーイング777で、制限のある空港への対応として翼端を折り畳む機構を採用した型も提案され、成功を収めています。

また、最新のモデルである777Xでは、翼幅を広げる一方で、空港ゲートに適応できる設計が実現しています。

結論

折り畳み翼の技術は、航空機の設計において極めて重要であり、特に空間の制約がある環境において、その利点が際立ちます。将来的にはさらなる技術革新が期待されており、航空機の効率的な運用に寄与するでしょう。

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