フェイカー・ホリック

『フェイカー・ホリック』について

『フェイカー・ホリック』は、イエロー・マジック・オーケストラ（YMO）のライブ・アルバムとして1991年5月21日にアルファレコードからリリースされました。このアルバムは、YMOが解散した後の初の未発表録音作品であり、特筆すべきは第1回ワールドツアーでの貴重なパフォーマンスを収めている点です。具体的には、ロンドン、パリ、ニューヨークの4つの異なる公演から編集された音源が収録されています。

アルバムの構成

『フェイカー・ホリック』は2枚組のCDで構成されており、Disc 1にはロンドンとパリでの演奏が、Disc 2にはニューヨークでの演奏が収められています。Disc 1では、最初の3曲がロンドンで1979年10月16日の公演から収録されており、このときの演奏はテープスピードが僅かに速められています。これに続いて、同じくロンドンの別公演やパリのテアトル・ル・パラスでのパフォーマンスも含まれています。

Disc 2にはニューヨークのボトムラインでの演奏が収録されており、特に注目すべきは演奏中にシーケンサーMC-8が暴走したために、演奏パターンが正常に再生されなかった「ビハインド・ザ・マスク」などがあります。これにより新たな形のライブパフォーマンスが展開されており、聴き手には緊張感と臨場感が伝わります。

渡辺香津美のギターパート

このアルバムはYMOの3rdアルバム『パブリック・プレッシャー』に関連しても特別な意味を持ちます。当時、渡辺香津美のギターパートは、契約上の理由から坂本龍一のシンセサイザーに置き換わっていました。しかし、アルファレコードの販売業務が日本コロムビアに移行したことによって、その障害が解消され、本作では渡辺のギターパートを聴くことができるようになりました。これにより、以前のアルバムとの違いを聴き比べる楽しみがあります。

タイトルの由来

アルバムのタイトルである『フェイカー・ホリック』は、「フェイク」という新作アルバムを指しており、1982年当時に雑誌での広告やレビューが行われたことに由来しています。この期間には「アナライザー」という楽器を用いて「タンダラダイ」や「ブルマー」などの曲が収録されていました。後に砂原良徳が『カルトQ』というテレビ番組で「YMOカルトキング」に選ばれた際にも、このアルバムに関連する情報が取り上げられました。

曲目リスト

Disc 1

1. キャスタリア Castalia
2. ライディーン Rydeen
3. ビハインド・ザ・マスク Behind The Mask
4. コズミック・サーフィン Cosmic Surfin
5. ラジオ・ジャンク Radio Junk
6. インソムニア Insomnia
7. 中国女 La Femme Chinoise
8. テクノポリス Technopolis
9. ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー Solid State Survivor
10. デイ・トリッパー Day Tripper
11. ファイアークラッカー Firecracker
12. ジ・エンド・オブ・エイジア The End Of Asia
13. 千のナイフ 1000 Knives
14. 東風 Tong Poo

Disc 2

1. ライディーン Rydeen
2. ビハインド・ザ・マスク Behind The Mask
3. ラジオ・ジャンク Radio Junk
4. ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー Solid State Survivor
5. 在広東少年 Zai Kang Tong Boy
6. 東風 Tong Poo
7. デイ・トリッパー Day Tripper
8. 千のナイフ 1000 Knives
9. ロケット工場 Rocket Factory
10. 中国女 La Femme Chinoise
11. ファイアークラッカー Firecracker
12. コズミック・サーフィン Cosmic Surfin
13. ジ・エンド・オブ・エイジア The End Of Asia

このように、『フェイカー・ホリック』はYMOのライブパフォーマンスを記録した貴重な資料であり、当時の音楽シーンやバンドの創造性を知るための重要な作品です。

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