フェイジョア

フェイジョア (Acca sellowiana)

フェイジョアはフトモモ科に属する常緑低木で、主にウルグアイやパラグアイ、そしてブラジル南部が原産です。この植物は果実を楽しむだけでなく、美しい花と葉を持つため、庭木や生垣としての利用価値も高いです。

特徴

フェイジョアの最大の特長は、その耐寒性です。他の熱帯果樹には珍しく、約-10℃の寒さにも耐えることができます。また、病害虫や乾燥、高温といった環境要因にも強く育ちますが、悪条件下では結実が難しくなることがあります。

樹高は多くの改良品種で約3メートル、原種では最大7メートルほどに成長します。樹形は整えやすいですが、成長はやや遅めです。葉は卵型で、表面が濃緑色、裏面は銀色または白色をしています。栽培は簡単で、無農薬での育成が可能です。

花と受粉

フェイジョアは夏に直径約4センチの花を咲かせます。花弁は内側が赤褐色、外側が白で、分厚く甘みを含むことが特徴です。蜜を求める小鳥類や昆虫（特に蜂）が花粉を運んでくれることで、受粉が行われます。多くの品種では自家不結実性があり、良好な結実のためには異なる品種を隣接して植える必要があります。最近では自家結実する品種も増えており、人工授粉も効果的とされています。

果実の収穫

日本では10月下旬から12月中旬に果実が実ります。この果実は硬い部分と柔らかいゼリー状の部分があり、断面は花のような独特な形状を持っています。品種や生育条件によって食感が異なり、果皮は硬めです。主な繁殖方法は接木や挿木ですが、実生樹でも優れた果実が得られます。また、強い剪定は翌年の果実量に影響を与えることがあるため、注意が必要です。

利用方法

フェイジョアはその美しさと耐久性から、ニュージーランドやオーストラリア、アメリカ、イスラエルなどの庭木や公園樹として人気です。果実はパイナップルとバナナの中間を感じさせる芳香を持っており、やわらかく甘みがあります。ビタミンCも豊富で、生食の他にジュースやジャム、ゼリー、果実酒などの加工食品にも利用されています。果実は通常、自然落果した後に追熟させてから食べられますが、大きな品種は味が劣る傾向があります。

ニュージーランドはフェイジョア生産の中心地で、一般家庭での消費が多く、さらにヨーグルトやアイスクリームに加工されたり、乾燥果肉を使ったフェイジョアティーが飲まれています。一方、南米ではそれほど普及しておらず、一部で生食される程度です。

日本では1980年代にキウィフルーツの次世代フルーツとして注目された時期がありましたが、現在はあまり普及していません。その理由には、異なる個体との受粉が必要なこと、果実の流通が少ないこと、食味の問題が挙げられます。また、初期に販売された苗木には成長が遅く、結実性が低いものが多かったため、普及が妨げられました。しかし、最近では自家結実性や食味の改善が進んでおり、再び家庭果樹としての人気が高まっています。

代表的な品種

様々な品種が存在し、生育期間や果実の大きさも多様です。特にニュージーランド産の品種はマオリ語に由来した名前が多く、高い生産性が評価されています。これに対し、オーストラリア産やアメリカ産の品種も存在しますが、日本では一部の品種しか入手できないのが現状です。

このようにフェイジョアは、果実と花の特性を兼ね備えた魅力的な植物で、様々な利用が期待されています。

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