フトモモ科

フトモモ科 (Myrtaceae) について

フトモモ科は、真正双子葉植物に属する科で、すべて木本であり、3000種以上、130〜150属に分類される多様なグループです。金平 (1933) や牧野 (1940) は、テンニンカを基準にテンニンクワ科として分類していました。

分布

大部分が世界の熱帯・亜[[熱帯]]地域に分布しており、特に東南アジアからオーストラリアにかけてと南米に多く見られます。日本では、アデクが南西諸島や小笠原諸島といった亜[[熱帯]]地域に自生しており、小笠原諸島にはムニンフトモモとヒメフトモモという固有種が存在します。

利用

フトモモ科には、様々な用途で利用される植物が含まれています。代表的なものとして、以下のものが挙げられます。

ユーカリ: 精油が採取され、薬用やアロマテラピーに利用されます。
グアバ、レンブ、フトモモ、フェイジョア、ジャボチカバ、ピタンガ: 熱帯果樹として食用にされます。
チョウジ（クローブ）、オールスパイス: 香辛料として料理に使われます。
ギンバイカ（ミルテ）、ギョリュウバイ、テンニンカ、ブラシノキ: 観賞用として栽培されています。

これらの植物は、精油を含み香りの良いものが多いのが特徴です。

特徴

フトモモ科の花は、両性で放射相称です。花弁は通常5枚または4枚で、美しいものもありますが、退化してなくなっているものもあります。雄蕊は多数あり、花弁よりも目立つことが多いです。葉は常緑で、多くは全縁（縁に鋸歯がない）です。子房は下位にあり、果実は蒴果または液果となります。

分類

これまで、フトモモ科は果実の特徴に基づき、2つの亜科に分類されてきました。

Leptospermoideae亜科: 蒴果をつけるグループで、ユーカリ、ブラシノキ、ギョリュウバイなどが含まれ、特にオーストラリア周辺に多く分布しています。
Myrtoideae亜科: 液果をつけるグループで、ギンバイカ（地中海沿岸原産）や、果樹・香辛料として利用される種類が含まれ、東南アジアと南米に多く分布しています。

しかし、この分類は現在、系統学的な解析に基づき再編が進められています。

主な属

以下に、フトモモ科の主な属とその例を挙げます。

Leptospermoideae亜科

ブラシノキ属 Callistemon - ブラシノキ
ユーカリ属 Eucalyptus - ユーカリ
Kunzea - カヌカ (K. ericoides)
ギョリュウバイ属 (Leptospermum) - ギョリュウバイ
コバノブラシノキ属 (Melaleuca) - ティーツリー

Myrtoideae亜科

Acca - フェイジョア
エウゲニア属 (Eugenia) - ピタンガ
オガサワラフトモモ属 (Metrosideros) - ムニンフトモモ (M. boninensis)、ポフトゥカワ (M. excelsa)、ハワイフトモモ、ラタ (M. robusta, M. umbellata)
キブドウ属 Myrciaria - カムカム
ギンバイカ属 Myrtus - ギンバイカ
ピメンタ属 (Pimenta) - オールスパイス
Plinia - ジャボチカバ
バンジロウ属 Psidium - グアバ
テンニンカ属 Rhodomyrtus - テンニンカ
フトモモ属 Syzygium* - フトモモ、チョウジ、アデク、ヒメフトモモ、レンブ

フトモモ科は、多様な植物を含み、私たちの生活に深く関わっている植物群です。

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