フェイトフルウォー

フェイトフルウォー：やんちゃな才能と不屈の魂

2008年1月11日生まれの競走馬、フェイトフルウォー。その名は「重大な戦い」を意味し、その生涯はまさに波乱に満ちたものであった。育成時代から気性が激しく、たびたび暴れるやんちゃな一面を見せながらも、持ち前の才能で数々のレースを駆け抜けた。

2歳となった2010年、デビュー戦となる東京競馬場の新馬戦で圧巻の勝利を収める。本馬場入場での放馬というアクシデントを乗り越え、1番人気を2馬身半差で突き放す快挙。新馬戦とは思えないほどの迫力ある走りで、スタンドからは大きな歓声と拍手が沸き起こった。続く東京スポーツ杯2歳ステークスでは3着、ホープフルステークスでも3着と、潜在能力の高さを示した。

3歳では、京成杯で重賞初制覇を飾る。2番人気に支持されながら、レースでは先行策から押し切り、重賞初制覇を果たすとともに、伊藤伸一調教師にも初の重賞勝利をもたらした。しかし、皐月賞、東京優駿では思うような結果を残せず、秋にはセントライト記念で重賞2勝目を挙げるも、菊花賞では7着と、安定した成績を残すには至らなかった。

4歳になると、日経賞、天皇賞・春と大舞台に挑戦するも、思うように走れず、その後、両前肢腱鞘炎を発症し、長期休養を余儀なくされる。

5歳で復帰を目指したが、今度は左前脚屈腱炎を発症。2013年6月23日、競走馬登録を抹消され、惜しまれつつも現役を引退することとなった。

引退後は、茨城県牛久市のセグチレーシングステーブルで乗馬として第二の人生を歩み始める。去勢される予定もあったが、一口馬主だった現オーナーが引き取り、競走馬時代の名前、フェイトフルウォーのまま、乗馬として登録された。その後、土浦市のホースパークギャラクシーを経て、10歳となった2018年にはオーナーの故郷である群馬県馬事公苑へ移動。「フェイトっち」の愛称で親しまれ、乗馬兼マスコット馬として人々に愛されている。現オーナーの強い動物愛護の精神により、去勢されることなく、穏やかな日々を送っている。また、元馬主会（有）社台レースホースの血統登録証が紛失したため、種牡馬になる予定もなかったという。

フェイトフルウォーの血統は、父ステイゴールド、母父メジロマックイーンと、同世代の三冠馬オルフェーヴルと同じ配合であった。その血統背景と、やんちゃな性格、そして類まれな才能。これらが織りなす物語は、多くの競馬ファン、そして馬に関わる人々の記憶に刻まれた。 フェイトフルウォーの生涯は、競走馬としての輝かしい成功だけでなく、人との絆、そして動物への深い愛情を示す、感動的な物語なのである。

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