フェスピック

フェスピック（FESPIC Games）とは

フェスピックは、かつてアジアおよび太平洋地域で開催されていた障害者スポーツの総合競技大会です。正式名称は「極東・南太平洋身体障害者スポーツ大会（Far East and South Pacific Games for the Disabled）」であり、その頭文字をとって「FESPIC」と呼ばれていました。現在のアジアパラ競技大会の前身にあたり、1975年から2006年まで9回にわたって開催されました。

歴史

フェスピックの起源は、1974年に大分県の社会福祉法人太陽の家の創設者である中村裕氏が提唱したことに始まります。中村氏は、「パラリンピックの父」と呼ばれるルートヴィヒ・グットマン氏に、汎太平洋規模の障害者スポーツの総合競技大会の構想を伝えました。グットマン氏は、既にパンアメリカン競技大会が存在していたことから、対象地域を極東および南太平洋にすることを提案しました。

1975年、第1回大会が大分県別府市で開催され、皇太子・皇太子妃両殿下が臨席されました。この大会には、車いすの四肢麻痺者だけでなく、視覚障害者、聴覚障害者、切断者、脳性[[麻痺]]者など、様々な障害を持つ選手が出場しました。1999年にタイのバンコクで開催された第7回大会は、国際パラリンピック委員会（IPC）の承認を受けた初のフェスピックとなりました。また、この大会から知的障害を持つ選手も出場しています。

2003年12月には、香港で第1回フェスピックユース競技大会が開催され、15か国から480人が参加しました。この大会は、若年層の障害者アスリート育成に貢献しました。

アジアパラリンピック委員会への統合

1990年代後半から、国際パラリンピック委員会（IPC）が地域委員会を創設する動きが活発化し、2001年にはオセアニア地域、2002年にはアジア地域をそれぞれ管轄する評議会が設立されました。このような流れを受けて、アジア地域の障害者スポーツの統括団体を一本化する提案が行われ、2006年にフェスピック連盟はアジアパラリンピック評議会と合併し、アジアパラリンピック委員会（APC）と改称しました。この合併により、フェスピックは史上最大規模で開催されたクアラルンプール大会が最後の大会となり、その歴史はアジアパラ競技大会に引き継がれることになりました。

大会一覧

フェスピックは、以下の9大会が開催されました。

第1回大会：1975年（大分県別府市、日本）
第2回大会：1977年（シドニー、オーストラリア）
第3回大会：1982年（香港）
第4回大会：1986年（ソロモン諸島）
第5回大会：1989年（神戸市、日本）
第6回大会：1994年（北京、中国）
第7回大会：1999年（バンコク、タイ）
第8回大会：2002年（釜山、韓国）
第9回大会：2006年（クアラルンプール、マレーシア）

実施競技

フェスピックでは、以下の競技が実施されました。

アーチェリー
陸上競技
バドミントン
ボッチャ
自転車競技
フェンシング
ゴールボール
柔道
ローンボウルズ
パワーリフティング
セーリング
射撃
サッカー
競泳
卓球
ボウリング
シッティングバレーボール
車いすバスケットボール
車いすテニス

これらの競技を通じて、アジア・太平洋地域の障害者アスリートたちは、国際的な舞台でその能力を競い合い、交流を深めました。

まとめ

フェスピックは、アジア・太平洋地域の障害者スポーツの発展に大きく貢献した大会であり、その精神は現在のアジアパラ競技大会に引き継がれています。この大会は、障害者スポーツの普及と、障害を持つ人々の社会参加促進に大きな役割を果たしました。

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