フェデックス1478便墜落事故

フェデックス1478便墜落事故の概要

2002年7月26日、フェデックス1478便（ボーイング727-232F型機）が、メンフィス国際空港からタラハシー国際空港へ向かう途上、タラハシー国際空港への着陸時に事故を起こしました。着陸進入中、機体は滑走路手前の木々に激突し、墜落炎上。乗員3名は全員重傷を負いましたが、幸いにも死者は出ませんでした。

事故機

事故を起こしたボーイング727-232F型機は、シリアルナンバー20866、ラインナンバー1067として製造され、1974年9月3日に初飛行を行いました。その後、デルタ航空に納入された後、フェデックスへ移籍。さらにTAPポルトガル航空、エア・アトランティス、ガルフ・エア・トランスポートを経て、貨物機への改修後、1989年12月13日に再びフェデックスに登録されました。

乗員

事故機には3名の乗員が搭乗していました。

機長: 55歳男性。総飛行時間は13,000～14,000時間で、同型機での飛行時間は2,754時間。矯正レンズ着用を条件に飛行業務に従事していました。
副操縦士: 44歳男性。総飛行時間8,500時間、同型機での飛行時間は1,983時間。色覚異常を抱えながらも、第二種航空身体検査証明書を保持していました。過去には海軍パイロットとして16年間勤務し、海軍の色覚試験にも13回合格しています。
* 航空機関士: 33歳男性。総飛行時間は2,600時間ほどで、同型機での飛行時間は346時間でした。

事故の経緯

1478便は当初、滑走路27への着陸を予定していましたが、風が止んだため、滑走路09への直線進入に変更しました。この際、操縦は副操縦士が行っていました。

午前5時30分、副操縦士は滑走路を視認したと報告し、その後、滑走路と機体の位置に関する会話が交わされました。午前5時36分、1478便は高度約300m付近を降下中で、ベースレグから滑走路へ正対するための旋回を行っていました。コックピットから見える進入灯（PAPI）は左1灯が白、右3灯が赤に見えていたと推測されており、これは進入経路がわずかに下方へ逸脱していることを示唆していました。しかし、パイロットはこの状況に気付きませんでした。

墜落の30秒前、高度約150m付近では、PAPIのライトが全て赤を示していたと推測されています。1478便は滑走路から約1,110m手前で、高さ約15mの木々に激突。機体はそのまま降下を続け、最初の衝突地点から約300m先の地表に激突しました。激突後、機体は約340m滑走し、建設車両に衝突して260度回転し停止しました。墜落時、フラップは30度に設定され、着陸装置も正常に作動していました。

事故調査

国家運輸安全委員会（NTSB）による事故調査の結果、事故原因は夜間の視認進入時にパイロットが適切な飛行経路を維持できなかったことと結論付けられました。事故当時、副操縦士は疲労しており、またパイロットは会社の飛行手順を遵守していませんでした。

パイロットたちは事故直前まで正常な進入を行っていたと主張し、PAPIが全て赤を示していたとは証言しませんでした。高度約150mの地点で、進入は不安定であり、着陸復航を行うべき状況でした。

また、事故後に行われた副操縦士の眼科検査により、赤と緑、白の識別が困難であることが判明しました。これにより、PAPIの判別が困難であったことが事故の一因として指摘されました。

結論

フェデックス1478便の墜落事故は、パイロットの不適切な判断、疲労、そして副操縦士の色覚異常という複数の要因が複合的に重なり発生したと考えられます。この事故は、夜間における視認進入の難しさ、パイロットの疲労管理、そして健康状態の重要性を改めて浮き彫りにしました。

もう一度検索