フェデリコ・ガルシーア・ロルカ

フェデリコ・デル・サグラード・コラソン・デ・ヘスス・ガルシア・ロルカ（1898年6月5日 - 1936年8月19日）は、スペインのグラナダ県フエンテ・バケーロスに生まれた詩人であり、劇作家です。ガルシア・ロルカという名前でも知られ、27年世代の代表的な人物の一人として、スペイン文学史にその名を刻んでいます。

ロルカは、画家サルバドール・ダリや映画監督ルイス・ブニュエルといった芸術家たちと親交がありました。ダリには詩集を捧げ、彼の妹とも親しくしていました。作品の内容から、同性愛者であったとも言われています。

彼の代表作の一つに、『ジプシー歌集』があります。アンダルシアのジプシーを題材にしたロマンセ（歌）集ですが、アンダルシア人からは、その描写が現実と異なると批判されることもありました。作家のボルヘスは、彼を「プロのアンダルシア人」と評しています。

日本でも早くから彼の詩が翻訳され、戦後には劇作品が数多く紹介・上演されました。三島由紀夫もその才能を高く評価しています。もし彼が生きていれば、ノーベル文学賞を受賞した可能性も指摘されています。俳優の天本英世がロルカの詩を朗読していたことでも知られています。

音楽、絵画にも才能を発揮しましたが、リベラルな作品と言動が原因で、スペイン内戦中にファランヘ党員によって銃殺されました。その悲劇的な最期は、彼の作品の人気に拍車をかけました。

生涯

1898年、グラナダ県の村、フエンテ・バケーロスの農場主の家庭に生まれました。生後二ヶ月で小児麻痺にかかり、軽い歩行障害に悩まされるようになります。1909年、イエスの聖心学院に入学。家庭教師から音楽を学びます。1915年、グラナダ大学の法学部と文学部へ入学。父親は彼が弁護士になることを望んでいました。

1918年、処女著作『印象と風景』を自費出版しますが、反響はありませんでした。1920年、マドリードの学生寮で暮らし、詩の朗読で知られるようになります。戯曲「蝶の呪い」が初演されるも、失敗に終わります。1921年、詩集『詩の本』を出版。新聞で批評されるなど、評判は良くありませんでした。1923年、法律の学士号を取得。この頃、ダリと出会っています。

1927年、詩集『歌集』を出版。マドリードのゴヤ劇場で最初の戯曲作品『マリアナ・ピネーダ』が初演されます。バルセロナでロルカ素描展が開催されました。1928年、詩集『ジプシー歌集』が出版され、文壇から絶賛され、名声が高まります。1929年、アメリカ合衆国を訪問し、コロンビア大学に短期留学をします。1930年、ウォール街に嫌悪感を抱き、キューバを訪問。現地の芸術家と交流し、グラナダへ戻ります。スペインではプリモ・デ・リベーラ政権が崩壊し、第二共和制が成立しました。

1931年、『カンテ・ホンドの詩』が出版されます。1932年、大学生劇団バラッカを設立し、古典劇の普及に尽力します。1933年、『血の婚礼』が初演され、大成功を収めます。10月にはアルゼンチンを訪問し、熱狂的に迎えられました。1934年、『イェルマ』が初演されます。1935年、闘牛士を悼んだ詩集『イグナシオ・サンチェス・メヒーアスへの哀悼歌』を出版。

1936年、内乱の雰囲気が高まる中、マドリードから故郷グラナダへ戻ります。数日後、フランコが反乱軍を指揮しスペイン内戦が勃発。友人の家に逃げ込みますが、逮捕され、8月19日に銃殺されました。38歳でした。

銃殺の際、自由を叫びながら毅然と死んでいったという伝説がありますが、恐怖に怯え命乞いをしていたという証言もあります。ダリはロルカの死を聞き、「オレー！」と叫んだと伝えられています。

フランコ政権下では作品は発禁となり、自由に語ることができませんでした。そのため、フランスなどのヨーロッパで研究が進みました。マドリードの広場にはロルカの像が建てられています。2006年、グラナダ空港は彼の名を冠したフェデリコ・ガルシア・ロルカ・グラナダ＝ハエン空港となりました。

彼の作品は、詩、戯曲、音楽など多岐にわたり、今日でも世界中で愛され続けています。

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