フェドチェンコ氷河

フェドチェンコ氷河は、タジキスタンのゴルノ・バダフシャン自治州に位置する、パミール高原を代表する氷河です。その名は、探検家アレクセイ・パブロビッチ・フェドチェンコに由来します。

地理的特徴

氷河は北緯38度46分01秒、東経72度16分58秒に位置し、細長く伸びた形状が特徴です。2005年の調査では、全長約70km、面積約900km2と記録されており、地球の極圏以外の地域では最長の氷河として知られています。氷河は標高約6200m付近から流れ出し、概ね北方向に流れ下って、標高約3000m付近で完全に融解します。

氷河の中流域における氷の流速は、2005年時点で1日あたり約67cmと測定されていました。しかし、近年の地球温暖化の影響により、氷河の縮小や流速の変化が懸念されています。氷河の融解水は、いくつかの小河川を経てバフシュ川に合流し、最終的にはアムダリヤ川へと流れ込みます。かつて、アムダリヤ川はアラル海に注いでいましたが、近年では河口付近が干上がり、氷河の融解水はアラル海に届かなくなっています。

歴史

フェドチェンコ氷河の存在が広く知られるようになったのは1878年のことですが、本格的な調査が行われたのは1928年、ドイツとソビエト連邦の共同調査隊によるものでした。近年では、タジキスタンにおいて、この氷河を含む周辺の氷河の融解水が水力発電に利用されています。この氷河は、水資源としても重要な役割を果たしています。

地球温暖化の影響

地球温暖化の影響は、フェドチェンコ氷河にも深刻な影響を与えています。氷河の後退や縮小、融解速度の加速などが観測されており、このまま温暖化が進むと氷河が消失してしまう可能性も指摘されています。氷河の融解は、周辺地域の水資源や生態系にも大きな影響を及ぼすため、国際的な対策が求められています。

参考文献
Fedchenko Glacier, ブリタニカ百科事典 オンライン版
The First of Tajikistan to the United Nations Framcwork Convention on Climate Change

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