フェラン (フランドル伯)

フェルナンド・デ・ポルトゥガルは、1188年3月24日にポルトガル王サンシュ1世とバルセロナ伯ラモン・バランゲー4世の娘ドゥルセの間に生まれました。彼はポルトガルの王族（インファンテ）であり、兄にポルトガル王アフォンソ2世、妹にデンマーク王ヴァルデマー2世の妃ベレンガリアがいます。

1212年、フェルナンドはフランドル女伯ジャンヌと結婚し、共同統治者としてフランドル伯に就任しました。しかし、当時のフランス王フィリップ2世の息子であるルイ王太子（後のルイ8世）が、ジャンヌの伯母であるイザベルを母に持つ関係からフランドル南部の領土を奪いました。これに対抗するため、フェルナンドはイングランド王ジョンや神聖ローマ皇帝オットー4世と同盟を結び、フィリップ2世に対抗しました。

1214年、ブーヴィーヌの戦いでフェルナンドはフランス軍に敗北し、捕虜となってしまいます。その後、1227年まで長きにわたる捕虜生活を余儀なくされました。この戦いの敗北はフランドルに大きな影響を与え、フランドルはフランス王家の影響下に置かれるようになりました。フェルナンドの捕虜生活は、フランドルの政治的状況を大きく変える出来事でした。

1233年、フェルナンドはノワイヨンで亡くなりました。彼とジャンヌの間には、娘マリーが一人いました。ジャンヌはフェルナンドの死後、サヴォイア伯トンマーゾ1世の息子トマと再婚しましたが、子供を授かることはありませんでした。ジャンヌの死後、フランドル伯の地位は妹のマルグリットが継承しました。

フェルナンド・デ・ポルトゥガルの生涯は、13世紀初頭のヨーロッパにおける政治的な駆け引きや王族間の複雑な関係を反映しています。彼のフランドル伯としての統治は、フランス王家との対立という大きな試練に直面し、その後のフランドルの歴史を大きく左右することになりました。

参考文献
* 佐藤賢一『カペー朝 フランス王朝史1』講談社現代新書、2009年

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