フェランチ効果

フェランチ効果とは

フェランチ効果は、長距離の高圧送電線や送電ケーブルにおいて、受電端で負荷を急に遮断した際や、未使用の線路に負荷を接続した際に発生する特有の現象です。この現象は、19世紀末にデプトフォード発電所の建設に携わったセバスチャン・フェランティによって発見され、彼の名前にちなんで名付けられました。

フェランティが発電所の機能試験中に、送電線の電圧が上昇する現象を確認したことが、この効果の発見につながりました。この現象は、送電線やケーブルの持つキャパシタンス（静電容量）が大きく影響しており、その特性によって電圧が上昇します。

現象のメカニズム

フェランチ効果は、送電線やケーブルに存在するキャパシタンスによって発生する充電電流が主な原因です。また、力率改善のために設置される進相コンデンサも、電圧上昇に影響を与えます。結果として、受電端の電圧（UE）が送電端の電圧（US）よりも高くなる現象が生じます。

この電圧上昇は、以下の数式で表されます。


UE/US = (1 + 1/2 * (R + XL) / XC)^-1


ここで、Rは送電線の抵抗、XLはインダクタンス、XCはキャパシタンスを表します。この式からわかるように、送電線やケーブルが長ければ長いほど、またキャパシタンスXCが大きければ大きいほど、電圧上昇の程度は大きくなります。一方で、インダクタンスXLは電圧上昇を抑制する方向に作用します。

さらに、負荷のない送電線に負荷を接続する際には、過渡現象も加わり、より複雑な電圧変動が発生します。また、一相地絡故障が同時に発生すると、電圧はさらに上昇し、絶縁破壊につながる危険性があります。

フェランチ効果への対策

フェランチ効果による電圧上昇を抑制するためには、分路リアクトルが有効な対策として用いられます。分路リアクトルは、必要に応じて回路に接続され、送電線のインダクタンスを増加させることで、電圧上昇を低減する役割を果たします。コイルのリアクタンスを適切に選択することで、電圧上昇の程度を制御することが可能です。

また、送電端と受電端にリアクトルを接続することで、フェランチ効果の軽減だけでなく、軽負荷時のキャパシタンス充電電流の補償も行うことができます。これにより、電圧の安定化が図られます。

さらに、送電線の送電端と受電端で同時に電路を切り離す同調回路も、フェランチ効果の対策として使用されます。

まとめ

フェランチ効果は、高圧送電線やケーブルにおいて、負荷の急な遮断や接続によって発生する電圧上昇現象であり、送電線の長さ、キャパシタンス、インダクタンスなどがその大きさに影響します。この現象を理解し、適切な対策を講じることは、電力系統の安定運用において非常に重要です。分路リアクトルなどの対策を通じて、安全で安定した電力供給を実現することが求められます。

参考文献

• - H. Koettnitz, G. Winkler, K. Weßnigk: Grundlagen elektrischer Betriebsvorgänge in Elektroenergiesystemen. VEB Deutscher Verlag für Grundstoffindustrie Leipzig. ISBN 9783342000877.

外部リンク

• - 電力系統の電圧・無効電力制御
• - フェランチ効果とは？原理を分かりやすく解説【進み力率で起こる】2023年12月12日 電験Tips

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