リアクトル

リアクトル（Reactor）

リアクトルは、電気回路においてインダクタンスという性質を利用した受動素子です。コイルに電流を流すと、その周囲に磁場が発生し、この磁場エネルギーを蓄える性質がインダクタンスです。リアクトルは、このインダクタンスを利用して、様々な電気的効果を得るために用いられます。

主な用途

リアクトルは、その特性から多様な用途に利用されています。以下に主な用途を説明します。

遅れリアクタンス源

長距離送電線などでは、静電容量によるフェランチ効果によって、無負荷時や軽負荷時に電圧が上昇する現象が起こります。この電圧上昇を抑制するために、リアクトルを電線路に並列に接続し、遅れリアクタンスを発生させます。これにより、電圧を安定化させることができます。

高調波電流の阻止

電力系統には、インバータやスイッチング電源などから発生する高調波電流が含まれています。これらの高調波電流は、コンデンサなどの機器に悪影響を与える可能性があります。リアクトルを力率改善回路に直列に接続することで、高調波電流を阻止し、コンデンサの焼損を防ぐことができます。特に、周囲の需要家の高調波対策が不十分な場合には、自設備に影響が及ぶ可能性があるため、リアクトルの導入が有効です。

直流電流の平滑化

直流電源回路では、脈流と呼ばれる電流の脈動が発生することがあります。この脈動を抑制し、滑らかな直流電流を得るために、リアクトルを直流電源に直列に接続します。電流形インバータやチョッパ制御の直流電源において、この平滑化は重要な役割を果たします。

直流電圧の昇圧

リアクトルは、直流電流を断続的に供給することで、電圧を上昇させる用途にも利用されます。昇圧チョッパ回路では、リアクトルにエネルギーを蓄え、それを放出することで、電圧を昇圧させることができます。また、自動車の火花点火内燃機関では、点火プラグに火花を放電させるために、高電圧パルス発生回路にリアクトルが使用されています。コンタクトポイントで電流の断続を繰り返し、高圧を発生させる仕組みです。

関連項目

インダクタンス: コイルに電流を流したときに発生する磁場によってエネルギーを蓄える性質。リアクトルの基本原理。
チョークコイル: 高周波成分を減衰させるために用いられるコイル。リアクトルの一種として扱われることもある。

まとめ

リアクトルは、電気回路において、様々な役割を果たす重要な受動素子です。その特性を理解し、適切に活用することで、電気システムの安定化や効率化に貢献することができます。

外部リンク

* 日本大百科全書(ニッポニカ)『リアクトル』 - コトバンク

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