フェラーリ・カリフォルニア

フェラーリ・カリフォルニアシリーズ：快適性と高性能を両立したGTカーの系譜

フェラーリ・カリフォルニアは、2008年、パリモーターショーで発表された2+2シーターのクーペカブリオレです。同社の伝統的なスポーツカーとは一線を画す、日常使いにも適した快適性と実用性を重視したモデルとして登場しました。その車名は、1950年代の名車「250GTカリフォルニア・スパイダー」に由来しています。

カリフォルニア：快適性と実用性を追求したフェラーリ

カリフォルニアは、アルミ製シャシーとウェバスト製のカブリオレユニットを採用。高い快適性と実用性を両立するために、2+2シーターのレイアウトが採用され、後部座席はオプションで2名乗車仕様に変更可能。トランクスルー方式も採用することで、ゴルフバッグなどの収納も容易になりました。デザインはピニンファリーナが担当し、内外装ともに洗練されたスタイルを実現。テールランプは丸型1灯を採用するなど、独特のデザインが特徴です。

パワートレインは、フェラーリ初となる4,297cc V型8気筒ガソリン直噴エンジンを搭載。環境性能にも配慮し、HELE（High Efficiency, Low Emissions）システムを採用することで、二酸化炭素排出量を270g/kmに抑えました。最高出力は460PS、駆動方式はFRを採用。V型8気筒エンジンを搭載したFR車はフェラーリ史上初でした。ミッションは7速DCT（デュアルクラッチ[[トランスミッション]]）を搭載し、滑らかなギアチェンジを実現しています。

また、ステアリングホイールに配置された「マネッティーノ」は、運転状況に応じて3種類の走行モードを選択可能。ブレンボ製のカーボンセラミックブレーキとマルチリンク式サスペンションを採用することで、高い制動性能と快適な乗り心地を両立しました。

カリフォルニア30：さらなる進化

2012年にはマイナーチェンジモデル「カリフォルニア30」が登場。最高出力が30PSアップの490PS、最大トルクも20N・mアップの505N・mに向上し、0-100km/h加速は3.85秒に短縮されました。さらに、フロントセクションの剛性強化や30kgの軽量化、ハンドリング性能の向上も図られています。サブネームの「30」は、最高出力30PSアップと30kg軽量化を記念して付けられました。

カリフォルニアT：ターボエンジンの搭載とハンドリング性能の向上

2014年には、ビッグマイナーチェンジモデル「カリフォルニアT」が発表されました。「T」はターボチャージャーを意味し、3,855cc V型8気筒直噴ツインターボエンジンを搭載。排気量は減少したものの、最高出力は560PSにまで向上し、0-100km/h加速は3.6秒に短縮されました。フェラーリがターボエンジン搭載ロードカーを発売するのは、F40以来のことでした。

エクステリアは、丸型テールランプにウインカーとバックランプを内蔵。マフラーレイアウトも変更され、よりスポーティなデザインへと進化しました。また、2016年にはオプションの「ハンドリング・スペチアーレ（HS）」パッケージが追加。サスペンションの改良やエキゾーストシステムの変更により、ハンドリング性能と排気音がさらに向上されました。

2017年には、フェラーリ70周年記念限定車が生産され、カリフォルニアシリーズの歴史に幕を閉じました。カリフォルニアシリーズは、フェラーリの伝統的なスポーツカーの枠を超え、新たな顧客層を開拓したモデルとして、フェラーリの歴史に大きな足跡を残しました。その快適性と実用性、そして優れた走行性能は、多くのドライバーを魅了し続けました。

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