クーペカブリオレ

クーペカブリオレ：魅力と歴史

クーペカブリオレ、またはクーペコンバーチブル、リトラクタブルハードトップ、バリオルーフと呼ばれる自動車のボディタイプは、金属製または樹脂製のハードトップを開閉できるオープンカーです。屋根を閉じた状態ではクーペのようなスタイリッシュなシルエットを、開けた状態では開放的なカブリオレの風情を味わえます。ただし、屋根を収納するためにトランクスペースが犠牲になる点が特徴で、オープン状態ではトランクが使用できない、もしくは著しく容量が制限される車種も少なくありません。

歴史を彩る革新技術

この革新的な機構の起源は、1930年代初頭に遡ります。フランス人歯科医師にして自動車設計の才能も持ち合わせたジョルジュ・ポーランが、電動油圧格納式メタルトップ「エクリプス」の特許を取得しました。カロセリー・プルートーとの協業を経て、パナールをベースとした試作車が製作され、プジョーがこれを採用。1934年から601、401、301エクリプスとして発売され、パリ・サロンでも402エクリプスが発表されるなど、大きな話題を呼びました。ランチアBelnaにも同機構が採用されるなど、一時的に人気を博しました。しかし、世界恐慌や第二次世界大戦の影響で、このタイプの車は姿を消し、同様の機構を持つ欧州車は、60年以上後のプジョー206 CCまで登場しませんでした。

アメリカでは、1947年にプレイボーイ・モーター・カーが「コンビネーション・コンバーチブル・クーペ」を発売。手動操作ながら、コンパクトに折り畳まれるスチール製トップは、後部トランクに格納されました。しかし、同社は100台ほどの生産で倒産しています。

1957年、フォード・フェアレーン500スカイライナーは電動開閉式ハードトップを採用し、7個のモーター、10個のリレー、8つのサーキットブレーカー、そして600フィート（約183メートル）もの配線を搭載。40秒で開閉する複雑な機構でしたが、この技術は後のコンバーチブル開発に大きな影響を与えました。

日本車では、1992年にホンダCR-Xデルソルの上級モデルに「トランストップ」と呼ばれる電動格納式ハードトップが採用されました。上下移動と前後移動を組み合わせることで、45秒での開閉を実現しました。その後、三菱GTO（北米名3000GT）スパイダー、メルセデス・ベンツ初代SLKなど、多くのメーカーがクーペカブリオレを発売。技術革新により、リモコン操作や20秒程度の開閉時間を実現するなど、利便性が向上しました。2005年にはルノーメガーヌ・ガラスルーフ・カブリオレが電動格納式グラスルーフを採用するなど、バリエーションも広がりました。

ソフトトップへの回帰

近年、電動開閉式クーペカブリオレは減少傾向にあります。かつてクーペカブリオレを採用していたレクサスIS Cは生産終了となり、現在ではダイハツコペンとマツダロードスターRFが代表的なモデルです。欧州車ではメルセデスベンツSLやBMW4シリーズも、最新のモデルではソフトトップを採用するなど、再びソフトトップが注目を集めています。

まとめ

クーペカブリオレは、そのスタイリッシュなデザインとオープンエアの爽快感を両立させた魅力的なボディタイプです。技術革新の歴史を紐解きながら、その特徴と現状を理解することで、より深く自動車の魅力を堪能できるでしょう。将来、新たな技術革新により、クーペカブリオレが再び脚光を浴びる可能性も秘めていると言えるでしょう。

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